空中楼閣*R25

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空中楼閣

グラスの指

高い湿度を引き受けて、グラスの表面がびっしりと水滴を結ぶ。 その水滴をなぞって集めるように、貴女の指先がロンググラスを撫でる。ネイルカラーが濡れて、滴が流れてカウンターに水溜まりを作る。 私は、貴女の指を眺めながら、ロックグラスの氷を指で突…

蛇のやうな遊びをしよう

幾重にも微細な雫を肌に纏って、歓喜の吐息を紅い唇から漏らす。 貴女は濡れた草原に横たわり、雨の中、欲情を受け入れて快楽に女を委ねた。 銀色の粘液を肌に刻み付け、愛撫の軌跡を人目に晒す。柔からな起伏から官能の粘膜突起へと、道筋を見せつける。 辱…

卵の連鎖

卵焼きは関東は甘く、関西は塩味、あるいは味醂と出汁を入れた出汁巻き卵らしい。 私は微かな塩味と薄く出汁の利いた卵焼きが好きかもしれない。「かも」しれない、というのは、そういう卵焼きにまだ巡り会っていないからだ。 母が私に作る卵焼きは、関東出…

新しいスケッチ

匂い(1) 宵闇のなか 川面を渡る風に吹かれて青草が濡らすサンダルの足先を思う甘噛みをした足指と 貴女の吐息が蘇り湿った髪に手のひらで触れた熱が包んだ腰の硬さを 嗚咽する喉の奥まで深く沈めて含みながら、お漏らしなさい・・草の上私の両手に震えを…

五月の風景画

序文・・犀星に想う 蕩ける貴女の緋色から 零れ堕ちる涙は糸を曳いて二人をヌラヌラを縛りつけていく私は肌に溺れ、意地汚くも未練を綴り 貴女は性を垂らして、素知らぬ顔で糧とする駆け引きは虚しいばかりの言葉遊びヌメヌメとした粘膜の交わりは 阿片のよ…

新緑に染みて

差しかけた傘の中で、貴女が服を脱いでいく。傘を持たないほうの腕で貴女の衣服を抱え込む。 霧のような雨が降り注ぎ、肌を包んで温もりを奪う。産毛立つ乳房は見る間に勃起して、幾重もの花色の波紋の中で先端を硬く尖らせる。 黒々とした飾り毛が下腹部で…

こんな事、してる場合か

「ねえ、私の中でオシッコしてみてよ」 貴女はそう言う。そうだな、試してみようか、と思う。もう、いろいろと終わったのだから。 射精する事と排尿する事は、開口部は同じでも、息を吸う事と酒を飲む事ぐらいに、体の仕組みという理屈で区別されている。で…

歪んだ心で

床に落として散らばった一円玉二枚の行方すら追えない私に、貴女の心の移ろいなど捕まえられるわけもなく、まして二人の未来など見えはしない。 不意にその感情は湧き上がり、苛つくように残虐になっていく。とはいえ、せいぜい貴女の乳首に爪を立てつづける…

箱庭に遊ぶ

目を閉じていた。それでも明るさを感じていたから、もうすっかり夜も開けたのだろう。多分、長い交わりをしながら、カーテンも閉めないまま眠ってしまったのだ。 腕を動かして貴女の曲線を感じ取る。目を閉じたままで肌を思い浮かべる。鼻先に貴女の肩甲骨が…

日々を綴る

どこかに辿り着きたいのなら、 今いる場所に別れを告げる決心が必要だ。 ・・J.P.モルガン 昔、貴女に言われた言葉を思い出す。「いつも上を目指してばかりで、疲れちゃわないの。今、居る場所で充分じゃない。今の幸せに何故、満足できないの」 鳥かごみ…

耽るという夢

まず最初に遠くの木々が低く唸って、すぐに新芽が大きく揺れて騒ぎ出し、瞬く間にガタガタと物置だかのドアを震わせて、風が吹き抜ける。 窓からの陽射しは肌を射すようで、眩しそうに目を細める貴女の腰を抱き寄せると、その場にしゃがみ込んだ。 素足を両…

春に揺られて

音もなく満開の枝が揺れて、窓の外では風が吹いていることを知った。たわわな桜を眺めながら、揺れている貴女を思った。「この時間の電車は、人も疎らで、揺られながら心地よくなってしまいます」 もっと心地よくしてあげようと、私は貴女に囁いてみた。「膝…

吊り人形

細い糸のような甲高い声が途切れ途切れになると、潤んだ視線が切なくなって、今にも目蓋が閉じそうになる。「私から視線を外したら、貴女の指のほうを見つめますよ」 「んぁ・・あああ」 壁にもたれて腰を落とした貴女は、遠退く意識を繋ぎ止めようと髪を振…

生け花

暖かな春の空気の中を掻き乱すように肌寒い風が吹き抜ける。 開け放った猫間障子から直に降り注いだ太陽で解れた乳房を、ひと撫でするだけで強ばらせてしまうような風だった。 その冷たさが、陽射しの中で貴女の胸を尖らせ続けた。勃起した先端は色づいた波…

小説家に

「嘲るような女達の笑い声や男達の吐く卑猥な息の音が聞こえた。空を切る鞭の音、背中の痛み、喉の嗚咽、そして私の、泣き声。私、泣いていた」 髪を後ろに強く引かれて、上を向いたまま苦しそうに貴女が続けた。「閉じれない膝で四つん這いのまま、闇の中で…

妄想の枷

「口を開けなさい、と彼が私に言った。一瞬、躊躇うと風を切る唸りとともに、乳房に鞭が弾けた。声にならない悲鳴と上げながら、私は天井に向かって口を開けた」 椅子に座って両腕を背中に回した貴女が、目を閉じて背中を反らした。物語を紡ぐ喉元が白く艶め…

創作楽市

私をそのサイトに誘ったのは、貴女だった。知人が立ち上げるので、参加して欲しいとのことだった。「お伽噺を信じていた頃・・」 私が作品を寄せる代わりに、と、貴女は自身の淫らな物語をそう語り始めた。「薔薇の花びらのベッドで、優しい瞳の王子さまに抱…

悦楽の淵で

貴女の欲望のシコリを突き動かすたびに、私を締め付けて来る。その間隔が短くなって、やがて緩むことが出来なくなってくる。 そんな頃には、貴女は溢れ出る声を押しとどめようと、自分の唇を手で被ってみたりもするのだが、それも長くは続かない。突き上げる…

永遠の「瞬間」

その瞬間、腰を震わせながら私を抱き締める。 その瞬間、緩めた唇のまま足先を反らす。 その瞬間、右半身に鳥肌を立てる。 その瞬間、胸元に桜色の染みを浮かべる。 貴女は、その瞬間の自分の肌を知らない。自分の表情を知らない。自分の淫らを知らない。 そ…

心なんて

朝、目覚めて、今日も目覚めた事にそれほどの感慨もないのだか、何となく人生が続いているのか、と半ば安堵する。「心を閉ざした方が、感じられるわ」 明日の朝、目が覚めないのではないか。もう二度とはこの世界に戻れないのではないか、と眠るのが怖かった…

恋なんて

灰色の地平線を見つめて「ロシアみたいな空・・」と貴女は言う。窓の外では、枝だけになった雑木林が春を待ちながら風に震えていた。 私は静かに体を起こして、裸のままベッドの上に膝で立って空を見上げている貴女の腰に、後ろから腕を回した。 鈍色の光が…

言葉すさび

電車が揺れる度に顔を近づけて、耳元で囁いた。「膝を少しだけ開いて」 「あ・・だめ。落ちちゃう」 貴女のスカートの中では、黒の網タイツに支えられたティー・スプーンが三本、柄のほうから花びらに突き刺さっている。 匙の部分が背中合わせになるように、…

指遊び

吐息とともに引き抜いた貴女の中指と薬指には、トロリと粘度の高い分泌液が絡み付いていた。「うぁ・・何これ、いやぁん」 奥を見せた花びらの左の茜色にも、白濁が垂れ落ちていた。「いつも、そんな愛液を垂らしてるんだ。ヨーグルトか、蜜蝋みたいだ」 ほ…

動物みたいに

たしか「春のクマみたいに・・」と書いたのは、つい最近も海外で賞を貰った有名作家だったと思う。「動物のまねが好き」と歌うのは、活動休止宣言をしたばかりのグループの一員であり、リーダーの奥様だ。 春のクマはゴロゴロとはしゃぎ回るのであって、交尾…

隠れ家にて

この歳になっても秘密の空間は、とても魅力的で、それは貴女との秘密と同じか、もしかしたら、それ以上かもしれない。「酷いぃ。私はこのお店か、それ以下ってこと?」 しまった、また余計な事を口にした。「ほら、男の隠れ家とか、秘密の時間とかって、雑誌…

ガラスの箱で(6)

オークブラウンのフローリングには解かれた縄と白く濡れた玩具、淫らなカテーテルが放り出されていた。私は柔らかく湿った貴女の肩と腰を抱き寄せながら、沈めた腰を揺らしている。 赤ん坊を寝かしつける揺りかごのように、静かにゆっくりと貴女と交わる。硬…

ガラスの箱で(5)

「あっ、ああ、もう、ほんとダメ・・もう」 「どうしたか?」 「また・・あっ・・あ、いちゃ・・ぅ」 ソファーに縛り付けられた体を苦しげに捩って、貴女が声を上げる。「ゆるして・・もう、死んじゃう」 私の指の間で貴女の雌しべが何度も擦り潰され、ゆっ…

ガラスの箱で(4)

絶え絶えの呼吸の間に、貴女が潤んだ瞳で懇願した。「おねがい・・キスして。キス、欲しい」 全身の震えが収まった後も、思い出すように沸き起こる痙攣に足先を強ばらせていた。 私は両手を緩やかに動かし続けながら、浅くなる性具を縋るように追いかける粘…

ガラスの箱で(3)

貴女は震える声で泣いたかと思えば、突然、快感に喘ぎ、激しく呼吸したかと思えば、息みながら戦慄いては大きく呻いた。 括られた足の先を宙で揺らし、足指を曲げたり伸ばしたりして、次第に肌を桜色に染めていく。「逝きそうだね。尿道とアヌスだけで」 「…

ガラスの箱で(2)

飴色の管を静かに引き上げると、機械仕掛けのように貴女が細く声を震わせた。抜かれていくゴムの管にすがって、尿道のピンク色の粘膜が内側まで見せて迫り上がる。 ついには追いすがれなくなって、粘膜が元の穴へと落ちていくと、そのすぐ上では大きく膨らん…