ガラスの箱で(5)
「あっ、ああ、もう、ほんとダメ・・もう」
「どうしたか?」
「また・・あっ・・あ、いちゃ・・ぅ」
ソファーに縛り付けられた体を苦しげに捩って、貴女が声を上げる。
「ゆるして・・もう、死んじゃう」
私の指の間で貴女の雌しべが何度も擦り潰され、ゆっくりと膨れ上がり、絶頂の最後には首をすくめるように包皮の中で埋もれてしまう。
刺激から逃れるように埋もれた雌しべを、また丹念に指先で掘り起こし、敏感な硬さを指の間で捕えるのだった。
「無くなっちゃう・・そこ、無くなりそう」
「何が・・」
「だって、感じが・・クリトリスが・・消えちゃいそう」
荒い呼吸の合間に貴女が言う。言いながら、すぐに体を震わせる。震えるたびに貴女の下腹部をカテーテルからの体液が汚し、唸りを上げるディルドが吐き出されそうになる。
紅潮していた肌は、思い出したように鳥肌を立てながら桜色のまだら模様を浮かばせる。
左を向いて快感に耐える貴女のルージュに振り乱した髪が張り付いている。
「キスあげるね」
「ああ・・欲しい」
私は彼女の顔ではなく、雌しべに顔を近づけた。ゴムのカテーテルを避けて、片手で剥き出しにした雌しべの先端に唇ではなく舌先だけで触れる。
「う・・あああ」
唇を使わない淫らなキスをしながら、アヌスから何度も押し出されようとするディルドの角度を手前に引きあげてから貴女に押し付けた。
半透明のディルドの上に載るように小さい振動子が枝分かれしていて、その角度に押し付けると、貴女の花びらの蜜口に小さいほうの振動子が鼻先を埋めるのだった。
目を閉じて、舌先に意識を込める。
貴女の隠れそうな、それこそ消えそうに身を縮めた雌しべの輪郭を頭に描いた。硬い先端から粘膜に包まれる裾野へと小さく螺旋を描いて舌先で撫でる。
貴女の哭き声は聞こえなくなり、荒い吐息も深く規則正しくなっていく。ただ、雌しべだけが不意に激しく呼吸するのを舌の先で感じることが出来た。その度に、鼻先を花びらに沈め、本体をアヌスに埋めた玩具の音が高く、低く変化した。
このまま愛撫を続けると、貴女はどうなるのだろう。意識を失ってしまうかもしれない。息を止めてしまうかもしれない。永遠に痙攣し続けるのかもしれない。
私は貴女のそんな全てを確かめたかった。貴女自身も、貴女以外の誰も知らない貴女の女の姿を知りたかった。
呼吸が止まった。
貴女の腰の力が満ち、それが全身へと広がった。その力は貴女の唇をこじ開けて、大きな叫び声となり、部屋へと解き放たれた。
淫らな獣のような呻き声は次第に大きくなって、はっきりとした女の叫びになった。