空中楼閣*R25

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2009-02-01から1ヶ月間の記事一覧

雨の日なのに

三日続けての雨模様だけど、今日は昨日よりも柔らかな空気だった。雨音というブレンドコーヒーを飲もうと、思った。 ・・が、しかし。 壊れていた。スイッチは点灯するのだが、音沙汰がない。六年目になってコーヒーメーカーが、天に召されたようだ。 雨音は…

ブランケット・デイ

肌寒い雨の日は、彼に背中から抱かれたまま、全裸でブランケットにくるまって、窓ガラスを滑り落ちる雨粒を眺めるのが好き。 彼の呼吸と肌の温度を背中で感じながら、花びらを擦る彼の硬さに目を細めて意識を霞ませる。 時々、胸の先で悪戯をする彼の指に、…

雨模様

今にも泣き出しそうな空だった。彼なら「泣き出しそうな、と最初に表現したのは誰だろうね」と、言いそうだ。現にさっきもこんな事を言って来た。「雨模様って、どんな模様なんだろう」 雨模様の模様は、図柄とかの「文様」でなくて予測の「模様」でしょ、と…

私には

肌に触れられると心まで甘く霞んでしまう。 キスだけで泣けてしまうものだと、誰かに言われたけれど、その時の私には判らなかった。 知らない方が良いこともある、と誰かが言っていたけれど、知ってしまったのならば、その快楽に溺れていたい。「焦点があっ…

あの人は

雨に音が吸い込まれてしまったみたいだった。降り注ぐ雨自体の音も、吸い込まれてしまった。 朝だというのに、自分以外には存在が居ないかのように静かだった。私自身の存在すら定かではないくらいに、静かだった。 鼓動の音。耳を澄ましても、それも上手く…

動物みたいに

たしか「春のクマみたいに・・」と書いたのは、つい最近も海外で賞を貰った有名作家だったと思う。「動物のまねが好き」と歌うのは、活動休止宣言をしたばかりのグループの一員であり、リーダーの奥様だ。 春のクマはゴロゴロとはしゃぎ回るのであって、交尾…

営みの日々

朝、目覚め。食事をして、排泄をする。夜になり、目を閉じる。過ぎて行く日々は何のために、とふと思う。 答はすぐに脳裏に閃く。・・貴女と交わるために、と。

美という痛み

オオオニバスは、二夜だけ大きな花を水面に開くらしい。ラジオでそんな事を言っていた。 丁度、「痛みが美に変わるとき」の松井冬子がゲストだった番組の後のプログラムだったから、余計に感じ入ってしまった。 痛みが美に変わる、のではなく、美は初めから…

薄紅の骸

まだ芽もつけていない桜の根元で 一羽のカラスが無心に地面を掘りおこす。 桜の紅でも埋まっているのだろうか。

渇望するも

濡れた指の先で花蜜が白い糸を曳く。突然の強い風が窓の外で何かを揺らす音が聞こえる。 床に置いて立てかけた鏡だけを見つめていると、その世界だけが、この世の全てならいいのに、と思ってしまう。 この部屋は温かく、風さえも部屋の窓を鳴らすこともない…

休み明けの朝

緑色の斜面を犬が駆け下りる。 私は橋の上、今日も仕事に向かう。 黄砂の予報というも底冷えの朝。 春はまだ、されど、春とて何があるわけもなく。 今日も、橋の上から流れを眺める。

秘密の時間は

隠れ家のような蕎麦屋で、天ぷら蕎麦と冷酒に月見とろろを注文した。 店には私の他に初老の男性が一人、カレーライスを食べている。蕎麦屋のカレーというのも美味しそうだが、喫茶店のような野菜サラダまでガラスの器で付いている。 蕎麦屋のカレーには大根…

隠れ家にて

この歳になっても秘密の空間は、とても魅力的で、それは貴女との秘密と同じか、もしかしたら、それ以上かもしれない。「酷いぃ。私はこのお店か、それ以下ってこと?」 しまった、また余計な事を口にした。「ほら、男の隠れ家とか、秘密の時間とかって、雑誌…

点を連ねて

「この白いチョークの線は・・」 そう言いながら数学の教師が左から右へと長い横線を黒板に描く。「チョークの粉、つまり、点の連続だ。例えばここをゼロとする」 その長い線の一カ所に人差し指の先を押し付ける。そこだけ微かに線が途切れた。「で・・この…

流れる時を刻むこと

今日は立春だということを先ほど気付いた。昨日、豆まきをしたにも関わらずだ。節分の次の日は立春。当たり前すぎることなのだが。 でも、その当たり前に気付いて、妙に驚いてしまった。季節の「季」とは、春夏秋冬の終わりの月をさすらしい。つまり、三月、…

ガラスの箱で(6)

オークブラウンのフローリングには解かれた縄と白く濡れた玩具、淫らなカテーテルが放り出されていた。私は柔らかく湿った貴女の肩と腰を抱き寄せながら、沈めた腰を揺らしている。 赤ん坊を寝かしつける揺りかごのように、静かにゆっくりと貴女と交わる。硬…

ガラスの箱で(5)

「あっ、ああ、もう、ほんとダメ・・もう」 「どうしたか?」 「また・・あっ・・あ、いちゃ・・ぅ」 ソファーに縛り付けられた体を苦しげに捩って、貴女が声を上げる。「ゆるして・・もう、死んじゃう」 私の指の間で貴女の雌しべが何度も擦り潰され、ゆっ…