空中楼閣*R25

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2009-04-01から1ヶ月間の記事一覧

歪んだ心で

床に落として散らばった一円玉二枚の行方すら追えない私に、貴女の心の移ろいなど捕まえられるわけもなく、まして二人の未来など見えはしない。 不意にその感情は湧き上がり、苛つくように残虐になっていく。とはいえ、せいぜい貴女の乳首に爪を立てつづける…

意地悪な硬さ

腰を浮かせた時、彼が嬉しそうな顔で二人の狭間を眺めていた。「垂れて来てる。花びらから蜘蛛の糸みたいに、ペニスの先に」 一瞬、何の事か判らなかった。それが自分の愛液だと気が付いて体が熱くなった。持ち上げた腰が崩れそうになった。「だめだめ、折角…

箱庭に遊ぶ

目を閉じていた。それでも明るさを感じていたから、もうすっかり夜も開けたのだろう。多分、長い交わりをしながら、カーテンも閉めないまま眠ってしまったのだ。 腕を動かして貴女の曲線を感じ取る。目を閉じたままで肌を思い浮かべる。鼻先に貴女の肩甲骨が…

日々を綴る

どこかに辿り着きたいのなら、 今いる場所に別れを告げる決心が必要だ。 ・・J.P.モルガン 昔、貴女に言われた言葉を思い出す。「いつも上を目指してばかりで、疲れちゃわないの。今、居る場所で充分じゃない。今の幸せに何故、満足できないの」 鳥かごみ…

耽るという夢

まず最初に遠くの木々が低く唸って、すぐに新芽が大きく揺れて騒ぎ出し、瞬く間にガタガタと物置だかのドアを震わせて、風が吹き抜ける。 窓からの陽射しは肌を射すようで、眩しそうに目を細める貴女の腰を抱き寄せると、その場にしゃがみ込んだ。 素足を両…

倦むという事

蒼穹なれど、風が吹き荒れる朝。陽射しばかりが強く、春の和らぎはない。 このところ、すっかり飽きてしまった。飽きないはずの職業を選んだはずなのに、である。 自分が飽き症で、一度、そうなると厄介だということは、物心ついた頃から判っていたみたいだ…

たまには・・日記

音もなく佇む満開の桜の下には、いつしか桜色の影が望月に照らされて浮かび上がる。 誰もいない夜の公園に、ただ一本だけの桜の木は、酔っぱらいの喧噪に乱されることもなく、花見の賑やかな賞賛に浮かれることもない。 ただ、じっと咲き、静かに散って行く…

春に揺られて

音もなく満開の枝が揺れて、窓の外では風が吹いていることを知った。たわわな桜を眺めながら、揺れている貴女を思った。「この時間の電車は、人も疎らで、揺られながら心地よくなってしまいます」 もっと心地よくしてあげようと、私は貴女に囁いてみた。「膝…

桜色の媚薬

乳白色をした白磁の湯飲みに塩漬けの蕾を入れて、彼がお湯を注いだ。立ち上る湯気の中で、桜が身悶えながら解けて行く。「貴女の花びらみたいだね」 彼の言葉に顔が火照りだす。「え・・」 言葉を返せないのは、頭の中にイメージが浮かんでしまうから。彼の…

吊り人形

細い糸のような甲高い声が途切れ途切れになると、潤んだ視線が切なくなって、今にも目蓋が閉じそうになる。「私から視線を外したら、貴女の指のほうを見つめますよ」 「んぁ・・あああ」 壁にもたれて腰を落とした貴女は、遠退く意識を繋ぎ止めようと髪を振…

生け花

暖かな春の空気の中を掻き乱すように肌寒い風が吹き抜ける。 開け放った猫間障子から直に降り注いだ太陽で解れた乳房を、ひと撫でするだけで強ばらせてしまうような風だった。 その冷たさが、陽射しの中で貴女の胸を尖らせ続けた。勃起した先端は色づいた波…