意地悪な硬さ
腰を浮かせた時、彼が嬉しそうな顔で二人の狭間を眺めていた。
「垂れて来てる。花びらから蜘蛛の糸みたいに、ペニスの先に」
一瞬、何の事か判らなかった。それが自分の愛液だと気が付いて体が熱くなった。持ち上げた腰が崩れそうになった。
「だめだめ、折角の蜘蛛の糸が消えちゃう」
彼の両手が私の腰をがっちりと支えた。
「ほら、まだ溢れて来る」
俯いても自分では見えない。彼の先端を見ようとすれば腰が後ろへと移動してしまう。彼の手がそれを許さない。
「見たいの?」
黙ったまま頷いてみせる。
「いやらしいなあ。ここと同じで、いやらしいね」
だって、花びらの持ち主は私だもの。あの部分は「いやらしい」に決まってる。それどころか、私の淫らが肌からはみ出してるのが、あの部分なんだから。
淫らになるほど、ぽっかりと口を開けて、私の欲情の塊を彼に晒すのだから。
「ほら、先端に垂れた蜜が零れて来た」
ああ、見たい。いやらしい私のヨダレが彼を包み込むところを見たい。
「見たい・・見せて」
彼はにっこりして、両手を緩めた。私は覗き込むようにして、お尻を後ずさりさせる。
彼の先端から白銀の糸が細く伸びて、私の飾り毛の向うへと伸びていた。覗いた瞬間に、それが細くなって垂れ下がり切れてしまった。
硬さの先に私の分泌が落ちていた。半熟卵みたいに透明なジュレの中に白濁が小さく渦巻いている。
「ああ、いやらしい」
吐息混じりに呟いて、指で触れた。
「そのまま良く拡げて塗り付けて」
彼がそう言う。ピンクのドームから零さないように、指先ですくい上げては粘液を塗り拡げた。彼の先端の亀裂の中にまで擦り込むように、指の先で小さな円を描いた。
「それ、気持ちイイよ。まさしく蜘蛛の糸だね。天国から降りて来たから」
掻き混ぜられた私は半透明に濁って糸をひいた。
「よし、返してあげる・・花びらの奥に」
「糸をよじ上って、天国に来てくれるの?」
彼が再び、私の腰をつかんで軽く浮かせた。
「ああ・・来て」
私の淫らが、彼の天国になってるって素敵なこと。それだったら、いくらでも蜘蛛の糸を彼に垂らしてしまう。
「糸が切れないように、ゆっくりと昇らなくちゃ」
彼は先端を私の熱に宛てがって、そう言った。そう言ったまま、腰をくねらせた。
「ああ・・気持ちいい」
花びらの内側が擦られる。私の淫らが口を緩めて、彼を欲しがる。
「・・ああ、ねえ・・ああ、入れて」
「だめだよ。もっとゆっくりと昇らなくちゃ」
ああ、そんな。焦らされたら我慢できない。
「うう・・だめ、もう、欲しい。焦らさないで・・ああ」
「気持ちイイんでしょ・・こうされると」
だから、ダメなのに。うずうずして、漏らしそう。
「ゆっくり拡げてあげるからね。それから、だよ」
彼の先端は地獄からの亡者みたい。私、狂わされて、おかしくなりそう。
「いつもでしょ。おかしくなっても良いから。もっと垂らして、ヨダレ」
ああ・・欲しい。奥に、入れて。