空中楼閣*R25

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2009-11-01から1ヶ月間の記事一覧

して、欲しいこと

ベッドボードに頭を委ねて、貴女を見つめていた。 弛緩した私の太腿のあいだで俯せになって頬杖を突いている貴女の、シャワーに濡れた髪先が腰のあたりをくすぐる。 貴女は、貴女の中で果ててだらしなくなった部分を指先で弄りながら、唇を閉じたまま先端に…

熱に憑かれて

あれはウイルス性の脳症だったのかもしれない。 高熱が出ると、自分が奈落の底に横たわっているように天井が遥か遠くに見えた。部屋のふすま絵が自分に向かって飛び出して来る。 幼い私は恐怖に泣きわめいた記憶がある。後になって母は「お前が、脳に異常を…

白磁の滑りと真紅のルージュ

魅惑的な唇と濡れた視線だった。眩しいくらいに白い肌だった。 窓からの薄光に泡立った肌がエロチックに息づいて、微かな吐息が柔らかな唇を震わせながら、大きく小さく波打った。 貴女が読みたいと言った宇宙物理学の本が、緑色のハードカバーの角で貴女の…

クリームチーズと林檎色

久しぶりの雨の日。生暖かいような、肌寒いような、曖昧な湿り気を帯びた空気の中にいる。「レア・チーズケーキが好きだよ。アップル・パイも好きだけどね」 紅茶を口元に運びながら、何気なく貴女に呟いた自分の言葉を思い出した。「愛しては、いないのよね…

刻印の悦楽

「あぅ、っ」 凍みる・・彼に噛まれた雌しべの、その右側だ。慌てて洗浄シャワーの勢いを緩めた。 逢うたびに、彼は必ず私に痛みを刻みこむ。 右の乳首の付け根だったり、後ろ手を強要された肩だったり、脇の下の痣だったり、そして今回は、雌しべの付け根が…

ハリネズミみたいに

ついアクセルを踏み込んだ。悪気があるわけでないが、意図不明のウインカーと、不意打ちのブレーキランプを繰り返す先行車に苛ついていた。 独り毒づくなんてみっともないと、いつもは思うのに汚い言葉が口を突く。 少し気を効かせれば判ることなのに、それ…