して、欲しいこと
ベッドボードに頭を委ねて、貴女を見つめていた。
弛緩した私の太腿のあいだで俯せになって頬杖を突いている貴女の、シャワーに濡れた髪先が腰のあたりをくすぐる。
貴女は、貴女の中で果ててだらしなくなった部分を指先で弄りながら、唇を閉じたまま先端にあてがった。
微かに舌先だけを覗かせて、縦筋のような割れ目をなぞる。心地よさに目を閉じると、すぐに先端から含まれた。
喉の奥まで柔らかいままのモノを飲み込んでから、口元で音をさせながら私を吸い上げる。
夢中になって口の中で私を左右上下に揺らし、前後に舌を使う。
射精からの間もなくて敏感になったままの私の粘膜は、すぐに刺激に反応して熱を産み、再び硬さを取り戻す。
懸命に頭を上下させてから、啜り上げながら顔を上げた。濡れた唇と私の先端を透明な糸が繋いだ。
「アナタと交わる女性達は、きっと幸せよね」
私に言うわけでなく、貴女は硬くなった部分に視線を落としたまま、そう呟いた。
一瞬、耳を疑った。嫉妬深い貴女から、そんな言葉が溢れるとは思わなかった。しかも、「交わった」ではなく「交わる」と聞こえたのだ。
「なんで、そう思うの?」
自分の墓穴を掘るような予感もしながら、それでも、褒め言葉なら男性として一番嬉しい言葉にそそのかされて、そう尋ねてしまった。
視線を変えないまま貴女が答える。
「だって・・気持ちイイもの。全てが」
私は調子に乗る。
「ソイツだけでなくて、ってこと?」
視線だけを上げて、私を見つめてから顔を伏せて、噛んだ。
「痛っ・・」
やっぱり墓穴を掘った。が、噛み方がすぐに優しくなって、貴女の頭が上下を始める。
それにしても、あんな事を言えるようになるなんて、知らぬ間に貴女は大人の女になっていた。いや、それだけ、私が悩ませたということだろうか。
急に貴女が顔をあげた。少し怒ったような顔のまま、膝を開いて私を跨ぐ。
「欲しくなった」
男はだらしない。すぐに頬が緩んでしまう。両腕を差し出して貴女の腰を引き寄せた私は、嬉しそうに安堵した顔をしたに違いない。
「ああ・・あ、そう、この感じが・・いい」
いつもより、貴女が腰を強く動かした。
「やっぱり、ソイツだけか・・」と言おうとして、口をつぐんだ。揺れる腰を支えていた手を引き寄せて、抱き締めた。
ゆるやかに揺らしながら、小さく囁いた。
「ありがとう」