空中楼閣*R25

*リンク先が不適切な場合があります。ご容赦を*

2009-06-01から1ヶ月間の記事一覧

殻を脱ぐとき

梅雨だというのに、まるでカンナの真紅が似合いそうなくらいに真夏の空だ。 死ぬのが怖くて、眠るのが怖かったのは中学生の頃だった。怖かったのは、死ぬ事もだけれど、書棚の奥に隠した緊縛写真や官能小説を見つけられるほうが怖かったかもしれない。 今は…

白いテラスで

前で結んだリボンを解くだけで、簡単に裸の腰が現れた。貴女の飾り毛は濃くて長い。「楊貴妃も長かったのよ。中国では美人の特徴らしいわよ」 5階建ての最上階、視界を半分ほど隠すような木々があるとはいえ、見上げれば部屋のテラスに置かれた白い丸テーブ…

爛れた時間は

腰を動かすたびに、濡れた皮膚が捲れ上がり、ねっとりと粘膜が絡み付く。鈍く痺れるような快感が、お互いを行き来して、少しずつ臨界への螺旋を昇る。 極みが近づくにつれて貴女の部分は私を締め付けて、押し戻し、手繰り寄せ、私の体液を受け止めようと、食…

週末の午後

カウチに寝転がって、目を閉じていた。裏庭から老夫婦の会話、そして、隣りからも若い夫婦の会話。そんなふうに人は出会い、暮らし、年を経るのだ。 私は、無駄なような時間を過ごしていた。何をするのでもなく、何を惜しむのでもなく、無駄という時間が半ば…

熟していく

「今日からは、触れないように」 ええっ、だって、朝と夜の二回は逝きなさいって私に命じてたのに。それも先週は、夜にも二回、続けて逝きなさいって。 刺激され過ぎて私の雌しべは、体を捻っただけで下着に擦れて声が漏れそうなくらいなのに。「貴女の果肉…

相対という絶対スケール

時々、感情がすれ違うのは、仕方の無いことだ。何故って、私が刻む時間と貴女が刻む時間が、同じ早さに見えて、実は違うものなのだから。 人はそれぞれの時間に自分を浸さなければ生きられない。生きるということは、時間の流れそのものだから。 昔、瀬戸内…

グラスの指

高い湿度を引き受けて、グラスの表面がびっしりと水滴を結ぶ。 その水滴をなぞって集めるように、貴女の指先がロンググラスを撫でる。ネイルカラーが濡れて、滴が流れてカウンターに水溜まりを作る。 私は、貴女の指を眺めながら、ロックグラスの氷を指で突…

鬱々と雨模様

ふと窓の外を見上げれば、一輪だけ夏椿が咲いていた。いつの間に、と目を凝らせば、他の枝にも今にも綻びそうな花蕾がぎっしりと並んでいる。 もう、シャラの花が咲く季節なんだ。夏椿とは良く言ったもので、白い椿のような花はポトリと・・首から落ちて散る…

梅雨のあとさき

この居心地の良い語句を見いだしたのは、誰だろう。「梅雨のあとさき」に「トパーズ色の風」だと、最近、白い犬のお父さんに出て来る歌手になってしまう。 まさか、彼が最初とは思えない。が・・調べても判らなかった。「あとさき」には、順序が逆になってし…

蛇のやうな遊びをしよう

幾重にも微細な雫を肌に纏って、歓喜の吐息を紅い唇から漏らす。 貴女は濡れた草原に横たわり、雨の中、欲情を受け入れて快楽に女を委ねた。 銀色の粘液を肌に刻み付け、愛撫の軌跡を人目に晒す。柔からな起伏から官能の粘膜突起へと、道筋を見せつける。 辱…