爛れた時間は
腰を動かすたびに、濡れた皮膚が捲れ上がり、ねっとりと粘膜が絡み付く。鈍く痺れるような快感が、お互いを行き来して、少しずつ臨界への螺旋を昇る。
極みが近づくにつれて貴女の部分は私を締め付けて、押し戻し、手繰り寄せ、私の体液を受け止めようと、食虫花のように誘い込む。
心地よさは、毒のように私の腰から脊髄をじわりと犯して、私の意識を薄くする。
私は、性欲が破裂する直前で自分を引き止めて、腰を緩めると、貴女の乳首を強く捻った。
「い・・痛い・・ああ、もっと・・して」
淫靡な匂いを解き放つように、貴女の花びらが大きく呼吸する。
もう何度目だろう。射精の直前で引き返す。貴女の子宮はその度に、捉え損ねた蜜を惜しむように、ケイレンを繰り返す。
喉が乾けば、互いの唾液で喉を潤す。腹は減れば、交わったままでフィンガー・ミール。噛み砕いた食物のまま、深くキスをする。
いつしか微睡み。気付けば、肌を追う。
窓の外は知らぬ間に暗くなって、気温すらも判らぬまま、時間を止める。外界の音もなく、二人の匂いだけの空間で、欲情に潰されて行く。
貴女の奥深くで、吐き出したい。眺めるだけで・・逝けるから