箱庭に遊ぶ
目を閉じていた。それでも明るさを感じていたから、もうすっかり夜も開けたのだろう。多分、長い交わりをしながら、カーテンも閉めないまま眠ってしまったのだ。
腕を動かして貴女の曲線を感じ取る。目を閉じたままで肌を思い浮かべる。鼻先に貴女の肩甲骨があるらしい。微かな汗の匂い。火照ったあとで静かに落ち着いた肌の気配がして、押し付けた鼻先が骨の硬さを感じ取った。
張りのある腰のラインからその裂け目を探り出す。上になっている太腿を抱くようにして、膝を深く曲げさせれば、きっと花びらを挟んだ膨らみが綻ぶはずだから。
坐骨を探った指をすすめると、急降下で谷底へ向かい、湿った放射状の細かなヒダに触れた。
スミレ色した貴女のアヌスだ。短く細かな産毛が周囲を縁取っているはずだが、触覚だけでは判らない。
中指の爪の先を僅かだけ、その中心に突き立てる。
「ん・・うんん」
顔を埋めた肌の向うから吐息が聞こえて、指先が締め付けられる。中指を折り曲げて、蜘蛛が這うみたいに、人差し指を先へと伸ばす。柔らかさかと思うような潤みに指の腹から沈みこんだ。
濡れている。最後に交わってからどれくらいの時間が過ぎたのかも判らない。けれど、粘膜のカタチも曖昧なほど濡れている。
眠りながらずっと貴女の肌を撫でていた。意識が戻るたびに乳房を包み、乳首を摘んだ。眠りが浅くなるたびに花びらを撫で、雌しべを弄った。
それでも、まだ部屋は闇の中だった、と思う。すっかり眠っていた。交わったままで。
二、三時間は過ぎたと思う。でも、乾くこともなく溢れていた。多分、貴女の奥で放った精液も一緒になって濡れているのだろう。
アヌスに軽く沈めた中指を足がかりに、人差し指を先端から花びらに押し付けた。熱いとすら感じる粘液の沼に、指が半分まで埋もれた。
「あ・・んぁ」
貴女は良い声で鳴く。鼻を鳴らすみたいに吐息を色づかせる。硬くなり始めていた私が一気に興奮する。
指で螺旋を描きながら、貴女のカタチを緩め始める。小さな蜜音がはっきりと聞こえだす。
二本の指を付け根まで、それぞれの貴女に沈めた。
「は・・うぅうん」
体をよじろうとする貴女の背中を埋めた顔で制止する。蜜の音と同じぐらいに鳴き声がはっきりとしてから、指を引き抜いて、腰を宛てがった。
おはよう・・も言わずに、目を閉じたままで貴女に沈めた。明けることのない夜のように、いつまでも腰を溶かし続けたかった。時間など、どうでも良かった。
この部屋は、私の箱庭。ベッドの上で貴女を飼い続ける部屋。