空中楼閣*R25

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吊り人形

 細い糸のような甲高い声が途切れ途切れになると、潤んだ視線が切なくなって、今にも目蓋が閉じそうになる。

「私から視線を外したら、貴女の指のほうを見つめますよ」
「んぁ・・あああ」

 壁にもたれて腰を落とした貴女は、遠退く意識を繋ぎ止めようと髪を振り乱す。大きく拡げて折り曲げた膝頭が会議室のテーブルの向うで震えた。

 私は椅子に座ったまま、じっと貴女の眼差しを見つめ返している。視線を落としても、捲り上げたスカートの下で、露になっているはずの粘膜は見えはしない。けれど、貴女には私の目に何が映るのかは、判らないだろう。

「そうそう、ちゃんと私の目を見て、声は我慢しないんだよ」
「ああ・・でも、誰かに」

 平日の午後の会議室。誰かが、顔を出してもおかしくはない。部屋の外の掲示は使用中に換えてはあるけれど、それでもドアを開けて確かめないと気が済まない人もいるだろう。

 まして、廊下まで聞こえそうな程に、悩ましげな声を出させているのだがら。もっとも、内側から鍵は締めてある。こっそりと貴女には気付かれないように。

「早く、逝かないと、誰かに見られてしまうかもね」
「だって・・そんな。目を開けたままなんて・・」
「じゃあ、閉じてもいいけど、イヤラシイところ・・見せてもらうからね」

 貴女はショーツを脱いで、腰を落とし、床に突き立てたディルドをアヌスに埋めているはずだった。

 そのディルドを滴りで濡らすほど、自分の指で花びらの奥を掻き回しながら、もう一方の手で雌しべを弄っているはずだ。

 両手を使うのは、いつもの貴女の自慰の仕方だった。

「もっと、腰も動かしさないと」
「うぁあ・・ああ、でも、声が・・我慢できない」

 アヌスを刺激すると貴女は叫び声を上げる。だから、ディルドを深く納めたままの腰を動かさないようにしているのは、判っていた。

「声を我慢してるんだね。私に逆らって」

 大袈裟に芝居がかって声を荒げてみた。貴女の顔が瞬時に困惑し、哀しそうな表情になる。

 私は椅子から立ち上がった。じっと貴女の目を見つめたまま、歩み寄る。

 貴女は、今にも泣き出しそうな眼差しを、それでも閉ざさないようにと私を見つめた。

 右足を床まで濡らしている貴女の腰の下へ差し入れた。革靴の先で床に張り付いているディルドを軽く蹴った。

「わぁあああ・・うう」

 貴女の大きな声が会議室に響き渡る。

「ほら、早く逝きなさい。もっと声を上げて、こっちを見たまま逝きなさい」

 私はそう言いながら、見上げる貴女の腰と床の隙間に差し入れた靴先で、コツコツとディルドを揺らした。

「ああああ・・ああ、ヘンにな・・る」

 貴女は淫らな蜜音を立て、涙を零しはじめる。指の動きが激しくなって、靴先が貴女の飛沫に濡れ始めた。

「ほら、こうやって、腰を動かすんだ」

 両手で貴女の肩をつかんで、上下に動かした。貴女が目を剥いたまま悲鳴を上げた。

「おぉ・・うう・・いく・・逝き・・ま・・す」

 宙吊りになったかのように、貴女の体が後ろの壁へと弾け、一呼吸おいてから痙攣を見せた。

 私の靴に液体が注がれて、床の上に水溜まりを拡げた。