空中楼閣*R25

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渇望するも

 濡れた指の先で花蜜が白い糸を曳く。突然の強い風が窓の外で何かを揺らす音が聞こえる。

 床に置いて立てかけた鏡だけを見つめていると、その世界だけが、この世の全てならいいのに、と思ってしまう。

 この部屋は温かく、風さえも部屋の窓を鳴らすこともない。ただ、遠くで何かに突き当たる音だけを響かせる。

 板張りの床の冷たさは火照った腰に気持ちよく、幼子が日溜まりで好奇の悪戯を我が身にするように、抱えた膝を拡げて緋色の粘膜を指で探る。

 幼子とは違うのは、心地よい場所と溢れるものの意味を知っている事。知る事は淫らなの事なのだろう。だから、エデンの楽園すらも追われてしまう。

 悦楽に溺れて追われたのなら、いっそこの淫らを映す鏡の世界だけに身を置いて、湧き上がる快楽に耽っていたい。自分の指ですら、意識が霞むほどに心地よいのだから、彼の指で、舌で、性器で掻き乱されたなら。

 そう思うと、床に触れているもう一つの粘膜すら、妖しい呼吸を始めてしまう。

「そこにも指を埋めてごらん」

 彼の囁きが私を誘う。

 小さな鏡だけを見つめて、背中を壁に預けて腰を持ち上がる。いやらく匂い立つ花びらが陽射しを浴びて天を向き、床に隠れていた後ろの蕾が鏡に晒される。

 露なになっている緋色の突起が波打つたびに溢れ出る白蜜は、ゆっくりと滴り落ちて息づく蕾に辿り着く。

 ここも、雌しべと一緒に弄っていいのですか。ああ・・欲しい。