濡れた指の先で花蜜が白い糸を曳く。突然の強い風が窓の外で何かを揺らす音が聞こえる。 床に置いて立てかけた鏡だけを見つめていると、その世界だけが、この世の全てならいいのに、と思ってしまう。 この部屋は温かく、風さえも部屋の窓を鳴らすこともない…
緑色の斜面を犬が駆け下りる。 私は橋の上、今日も仕事に向かう。 黄砂の予報というも底冷えの朝。 春はまだ、されど、春とて何があるわけもなく。 今日も、橋の上から流れを眺める。
引用をストックしました
引用するにはまずログインしてください
引用をストックできませんでした。再度お試しください
限定公開記事のため引用できません。