新緑に染みて
差しかけた傘の中で、貴女が服を脱いでいく。傘を持たないほうの腕で貴女の衣服を抱え込む。
霧のような雨が降り注ぎ、肌を包んで温もりを奪う。産毛立つ乳房は見る間に勃起して、幾重もの花色の波紋の中で先端を硬く尖らせる。
黒々とした飾り毛が下腹部で震えながら、霧雨の水滴を集めて水玉を結んだ。
濡れた草の上に素足を下ろすと、私が指し示したクヌギの巨木へと歩み出す。新緑の雨に浮かぶ白い裸体が、この世から遊離する。
「ここ・・で、いい?」
寒さのためか、緊張のためか、微かな声を震わせて小首を傾げた。
「その樹に背中を付けて、足をもっと開いて」
下腹部の漆黒は水滴の重みで俯き始める。身にまとった霧を集めると、透明な玉を滴り落ちた。
「あぅ・・」
芯まで濡れた木肌の冷たさが貴女の熱を更に奪いとる。貴女の粟出った胸が空へと反って、凍える乳首に雨が注いだ。
「左手で開いて、右手で、しなさい」
静かな雑木林に私の声が妙に響いた。追うようして、貴女の吐息が広がった。体をクヌギの幹に預けて、貴女が片手で花びらを開いた。飾り毛を引き上げて、雌しべを露出する。
右手の指先が小さな突起に触れた。
「・・あ」
背後から抱かれたように喉を見せる。指先が下って、蜜を探る。濡らしてから引き返す。雌しべの上で螺旋を描き始めた。
「う・・っ、ああ」
声が木霊する。雨の中、鳥の声はしない。貴女の鳴き声だけが響く。
「もっと、硬く尖らせなさい。クリトリス」
「ああ、あ・・はい」
指先で雌しべを挟み付け、根元まで剥き出しにする。器用に中指を折り曲げて爪の先で刺激する。
「ひぃ・・・ううう」
貴女の裸体が揺れる。揺れながら、膝が内側へ崩れそうになる。草の中で貴女が爪先立ちになる。
紅い唇が雨を滴らせて戦慄いた。
「ああ、もう・・だめ、立ってら・・れない」
腰が退けて体が折れ曲がる。
「背中で後ろにもたれなさい。腰を私に突き出して、花びらをもっと開いて、雨が中まで染みるように」
「は・・い」
貴女は開いた腰を不格好に突き出して、素足の踵を浮かして花びらを雨に晒した。
雌しべが紅く腫れている。
「指、入れて、奥まで、二本」
降り注ぐ雨なのか、貴女の愛液なのか、拡げた花びらの端から滴り落ちる。その奥へと指が埋もれていった。
「ふぅううぅ・・ああ」
胸の奥から吐き出された息が、声となって唇から白く漏れ出た。濡れた肩をぶるりと震わせた。肌は寒いのだろう。でも、貴女の指は熱の塊をゆっくりと掻き回し始める。
「子宮の入り口を撫でてあげなさい」