空中楼閣*R25

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樹液に溶ける肌

 指の先が弾力の塊を揺らすたびに、白く霞んだ視界が閉ざされる。腰から背中へと駆け上がる快感に瞼が閉じてしまうのだ。

 腰が溶けて崩れ落ちそうになると、背中に痛みが走り、引き戻される。遠くで彼の冷静な声がする。雨は音もなく私の肌を濡らす。

「もっと深く沈めて」

 私は左手で自分を開き、右手で奥を刺激する。思い出したかのように突然に身震いが起きる。一つは底から湧き上がる快感に、一つは肌から染み込む寒さに。

 乳房の先が痛い。硬くなり続けた事と冷たい雨に打たれて痛い。その痛みが乳房を甘く包んで、腰を疼かせる。

 雨音はしない。蜜音が響く。震える吐息が白い。

「ああ・・ねえ、もう・・」
「どうした?」
「おしっこ・・したい」

 寒さの中、快感の隙間に尿意が忍び込む。きっと彼は、このままの姿勢で漏らせという。

 少し離れた小径に立った彼は、片手で傘を掲げ、片腕に私の服と下着を抱えている。

 私はクヌギのゴツゴツとした幹を背にして、立ったまま素っ裸でオナニーをしている。霧雨の中、片手で性器を開き、片手を性器に埋めている。

 肌が冷えるほど、腰が熱を帯びる。熱は疼きとなって這い上がり、稲妻となって突き上げる。唇から呻きとなり、悲鳴となる。

「うう・・ああ、もう、ねえ・・漏れちゃう」

 目を開けていられない。視界から彼が消えそうになると、途端に不安が襲う。誰も来ないと判っていても、森の中の遊歩道は、山のホテルの一角には違いないのだから。

 それだけではない。彼をそのまま見失ってしまいそうな気がする。

 私が自慰の快感に溺れて目を閉じてしまえば、彼は黙って私を置き去りにして立ち去ってしまうような気がする。

 そんな不安と恐怖から、私は目を開く。快感に負けないようにと視線を保つ。

 それが辛い。その辛さがまた疼きとなって、淫らな指をもっと動かしたくなる。私って、どこまでも欲張りで、どこまでもイヤラシイ女。

「そのまま・・逝きなさい」

 彼の声がすぐ近くでした。いきなり彼の匂いが私を包んだ。

「えっ・・」

 私が意識を繋ぎ止めようと苦悶してる間に、彼は目の前に立っていた。

「続けなさい。おしっこ、してもいいよ」

 彼の腕が私の腕をつかんで、唇をキスで塞がれた。そのまま背中を押し付けられる。

 クヌギの荒れた木肌に柔肌を押し付けられた痛みに、声を漏らした。漏らしたとたんに腰が弛んで熱が溢れ出た。

「うう・・汚しちゃう。ズボン」

 雨音のかわりに私の体液が地面を叩く音が森に響いた。湯気とともにイヤラシイ匂いがクヌギの枝へと舞い上がった。

「ほら、逝きなさい、もっと」

 埋もれた私の指に彼の指が添えられた。