空中楼閣*R25

*リンク先が不適切な場合があります。ご容赦を*

五月の風景画


序文・・犀星に想う


蕩ける貴女の緋色から
零れ堕ちる涙は糸を曳いて

二人をヌラヌラを縛りつけていく

私は肌に溺れ、意地汚くも未練を綴り
貴女は性を垂らして、素知らぬ顔で糧とする

駆け引きは虚しいばかりの言葉遊び

ヌメヌメとした粘膜の交わりは
阿片のような媚薬となって

心も躰も亡き者とする

官能を貪り耽り
堕ちていくその先は・・蜜のあわれ

それもまた羨まし



・・・

浮気心から


白いプリーツスカートで組んだ脚先に
真っ赤なピンヒールを穿いた
貴女の心意気に脱帽です

ごめんなさい、じっと見つめてしまいました

動く・・貴女のつま先

綺麗に反っていくのですよね
彼に揺らされながら・・きっと



・・・

風景画(1)


「ためらいと羞恥を解いて」

貴女の唇に、そっと押しあてる

「官能に心と肌を晒したら」

ルージュが綻んで、吐息が溢れ出す

「跨いでごらん・・私の唇」

貪るように口づけが交わって

「舌を奥まで沈めてあげる」

・・蜜が滴り始めた


・・・

風景画(2)


ゆらゆらと転がすと緋色が蠢いて
グラスの向こうが潤み始める

小さな突起を押し花にして
揺らすたびに吸い付いてくる

淫靡な音を響かせながら
花芯の奥が白くなる

壁にもたれて折り曲げた
膝を開いた貴女の腰に

ロックアイスに曇ったままの
タンブラーグラスを押しあてた

万華鏡のように色を変え
霧のように濁りだす

もっと強く押しつけたなら
貴女の奥まで・・見せてくれるよね


・・・

風景画(3)


薄くて儚げな青紫に
散りばめられた透明な滴

崩さないように触れてみた

一番、初めに覚えた花の漢字
紫陽花はいつまでも官能を誘うから

冷たく濡れた人差し指で
霧雨が産毛に宿る乳房の先に

・・運んであげる

胸を見せて、ここでいいから


・・・

風景画(4)


まだ醒めきらぬ全裸の貴女を抱き寄せた
ドアの傍らでの「おやすみのキス」

・・それもいいけれど

夜明けまでには帰っていく
貴女の蜜に濡れたシーツ

私はくるまって深い眠りについた

そんな関係も、たまにはいいのかもしれない


・・・

風景画(5)


さっきまで向かい合わせに
食事をしていた部屋で

柱に縋り付くように頬を寄せて
立ち上がったままで白い腰を晒す貴女の

匂いと音を響かせながら蕩けるような

疼きに時間を忘れる


「ねえ、物事には全て意味があると
思っていたけど・・考え方を変えたの。

出来事には何の意味もないのよ。
そう思うことにした。

今が、心地よければ・・それが全てだって」


・・・

風景画(6)


シーツに投げ出した掌の上で
崩れそうに腰を揺らす
貴女を眺めながら

こんな時間がいつまでも
続けばいいのにと、

取り留めもない事を考える

切なげな声を響かせて
私の中指を奥深く抱きしめながら
止めどなく蜜を吐きだす花びら

このままで、もっと

蕩けてしまえと・・中指を折り曲げた

「他の指も入れてあげようね」


・・・

風景画(7)


拡げた膝を後ろから抱きかかえて

「あなたなんて・・」

両手の人差し指を根本まで
深く沈めて左右に開いて

「・・大嫌い」

見てごらん、と囁くだけで

小さな窪みから噴き出す
貴女の生ぬるい水が

「もっとイヤラシイ・・こと」

淫らな放物線を鏡に写した

「・・してほしい」


・・・

風景画(8)


闇の中・・

雨に滲んだフロントガラスが
二人の吐息に曇り始めた

貴女の家を通り過ぎ

建設途中の道路の
行き止まりに車を停めて

おやすみのキスをしながら
もう一度、指を沈めて

あと二回、あと三回
・・貴女の淫らがみたいから

真っ直ぐに伸ばす脚を見つめ
しがみつく両手を腕に感じ

蜜音を響かせて、声を上げさせた

どうにも切なかった・・夜


・・・

風景画(9)


薄明かりに浮かぶ
背中の曲線を眺めながら

吐き出して塗りつけた
白濁を思い描いたりして

乳房を鏡に写したまま
貴女がルージュを直すのは

乱れた髪の耳元で囁いたから

赤い唇で・・して欲しい


・・・

風景画(10)


時間を惜しむほど重ねたあとは・・

小さな突起と粘膜の奥深くで
貴女が私を感じ続けているように

私も貴女の薫りに

・・包まれて過ごす

互いの肌に見えない痕跡
日常の中でよぎる刹那


・・・

風景画(11)


薄明かりに霞む部分に
顔を近づけて舌を伸ばした

湿度と香りを感じながら
触れれば零れる吐息を想う

身悶える粘膜を・・
そのまま、じっと眺めるように
懇願の声を上げるまで

待つことの悦楽

デスクライトの前で・・拡げてごらんなさい
貴女の淫らを照らしてあげるから


・・・

風景画(12)


指先を走らせるだけで、甘く震えてくれる

顔を近づけるだけで、
吐息を切なく零してくれる

静かに囁くだけで、蜜を滴らせてくれる

後ろから抱きしめるだけで
火照った肌を匂わせて

唇を重ねるだけで・・堕ちて逝く

貴女とは際限がない


・・・

風景画(13)


「お店で、水槽を指先で撫でていたでしょ」
「ああ、魚が餌と間違えて突いたりしないかなと」
「硝子を撫でる貴方の指がしなる感じ・・見てるだけで」
「ん?」
「濡れちゃうのって・・変よね」
「そうなんだ。こうやって撫でる感じだね」
「ああ・・だめ、掻き回さないで」


・・・

風景画(14)


静かに引き抜く指に
細かなフリルが

花冠のように纏わり付いた

この亀裂が貴女を初めて抱いた男の痕跡
低い声で呟くように嫉妬した

貴女の蜜を全部、掻き出してあげる


・・・

風景画(15)


触れるまえから溶け出していた

柔らかな白色光に晒されて
透明な粘液の中を
ゆっくりと泳ぐように
零れ落ちてくるミルク色

抱き寄せて腰のファスナーを下ろす時
キスをして、背中のホックを外す時
腰を捕まえ、薄布を引き下ろす時

腰かけて膝を折り曲げ開く時

指先で触れる前から
もう・・貴女は溶けていた

こうして私は、時空を越えて
言葉と文字で・・貴女と交わる


・・・

風景画(16)


肩と踵を支えにして
裸身を浮かすのは

蜜糸を吐き出す貴女の姿勢

迫り出した内側の細かな横ヒダを
押し戻すように指先で触れた

大きな声でイヤイヤをしながら

頭の上で縛られた交差する両手が
シーツに食い込んだ

大粒の硝子玉・・貴女にあげる
桃色の万華鏡になるように

それとも、もっと深くにあげようか・・
貴女の産卵も見てみたいから

ほら、また蜜が噴き出した


・・・

風景画(17)


その椅子に座って、
両手を背中へ・・目を閉じなさい

ショーツを脱いだら、スカートを持ち上げて
そのテーブルに花びらが触れるように
腰を下ろしなさい・・

スカートの中で膝を拡げて
大理石の冷たさを花びらのキスで
温めてあげなさい。

腰を揺らして、深く深く口づけをして
柔らかな雌蕊が脹らんで
心地よく硬くなったら

コリコリと擦りつけなさい。

隠れた場所から蜜の音が響くまで
何度でも、逝きなさい・・


唇が緩んで、踵が浮いていますよ。
目を閉じたまま・・膝を拡げてみませんか。

そろそろ始めましょうか・・



・・・

交わるという事


目を閉じて感覚を研ぎ澄ます

舌先でなぞりながら
柔らかなヒダの形を脳裡に描く

粘膜の蜜の中から脹らむ雌しべを
探り出し、慈しみ・・快感を誘い出し

ほら、吹き出した「お漏らし」

もう一度、何度でも・・してみせて