空中楼閣*R25

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小説家に

「嘲るような女達の笑い声や男達の吐く卑猥な息の音が聞こえた。空を切る鞭の音、背中の痛み、喉の嗚咽、そして私の、泣き声。私、泣いていた」

 髪を後ろに強く引かれて、上を向いたまま苦しそうに貴女が続けた。

「閉じれない膝で四つん這いのまま、闇の中で多くの人から辱めを受けていた。何度も、何度も、喉を突かれ、精液を注がれた。飲み込めない体液と私の唾液と涙と吐物が、剥き出しの乳房を滴り、裸の下腹部まで濡らしていった」

 淫らな物語を声にする貴女の唇が、狂おしそうに塞がれることを待っていた。

「助けて・・意識が戻ると、彼の腕が汚れた私を抱き締めていた。秘められた私の願望は、お伽噺の恋も甘い愛の囁きも、不思議な形に歪めてしまう。でも、大人になるにつれて、私は、それもまた愛の形だと分り始めている。いいえ、本当の愛かもしれないと確信している」

 私は椅子の上の覆いかぶさった。大きく開かれた貴女の唇と交叉するように、自分の唇を重ねて貴女の呼吸を塞いだ。

 私が舌を伸ばす前に、貴女の舌が入り込んで来た。と同時に、貴女がくぐもった声を上げて、大きく仰け反った。

 互いの喉の奥まで探り合った舌が離れると、唾液が二人の唇の間を糸となって繋いだ。

「ああ・・叶えて下さい。私のお伽噺」

 大きく膝を開いて体を捩ったまま、朦朧とした視線で貴女がそう言った。


 いつも猥雑ばかりを綴っているかと思われないように、創作楽市に載せていた物語をこちらに・・