空中楼閣*R25

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管理人雑記

愚問を自らに

小さな「予期せぬ終わりが」いろいろとあったから、自分の環境は変わりつつあるのかもしれない、と少し前に書いた。 言葉とは恐ろしい。文字となるともっと力を持つ。更なる終わりが、後に続いた。 また1人、恩師が世を去った。それも突然に。 これで私に道…

殻を脱ぐとき

梅雨だというのに、まるでカンナの真紅が似合いそうなくらいに真夏の空だ。 死ぬのが怖くて、眠るのが怖かったのは中学生の頃だった。怖かったのは、死ぬ事もだけれど、書棚の奥に隠した緊縛写真や官能小説を見つけられるほうが怖かったかもしれない。 今は…

週末の午後

カウチに寝転がって、目を閉じていた。裏庭から老夫婦の会話、そして、隣りからも若い夫婦の会話。そんなふうに人は出会い、暮らし、年を経るのだ。 私は、無駄なような時間を過ごしていた。何をするのでもなく、何を惜しむのでもなく、無駄という時間が半ば…

相対という絶対スケール

時々、感情がすれ違うのは、仕方の無いことだ。何故って、私が刻む時間と貴女が刻む時間が、同じ早さに見えて、実は違うものなのだから。 人はそれぞれの時間に自分を浸さなければ生きられない。生きるということは、時間の流れそのものだから。 昔、瀬戸内…

鬱々と雨模様

ふと窓の外を見上げれば、一輪だけ夏椿が咲いていた。いつの間に、と目を凝らせば、他の枝にも今にも綻びそうな花蕾がぎっしりと並んでいる。 もう、シャラの花が咲く季節なんだ。夏椿とは良く言ったもので、白い椿のような花はポトリと・・首から落ちて散る…

梅雨のあとさき

この居心地の良い語句を見いだしたのは、誰だろう。「梅雨のあとさき」に「トパーズ色の風」だと、最近、白い犬のお父さんに出て来る歌手になってしまう。 まさか、彼が最初とは思えない。が・・調べても判らなかった。「あとさき」には、順序が逆になってし…

卵の連鎖

卵焼きは関東は甘く、関西は塩味、あるいは味醂と出汁を入れた出汁巻き卵らしい。 私は微かな塩味と薄く出汁の利いた卵焼きが好きかもしれない。「かも」しれない、というのは、そういう卵焼きにまだ巡り会っていないからだ。 母が私に作る卵焼きは、関東出…

静かな日々には

この部屋にいると、月に数回、外の気配が消えてしまう朝がある。昔、「飛ぶ教室」という児童文学の本を、誕生日に買ってもらったのだが、この部屋は「飛ぶ部屋」なのかもしれない。 外の気配が消えるといっても、部屋の二面には大きめの窓があり、人々の平穏…

スイッチ

たった三年前の文章なのに、なんだか自分から紡ぎ出されたとは思えないくらいだ。 たった三年なのに、私は変わってしまったのだろうか。もっと以前には、もっと綺羅綺羅と冷たかったのに、三年前には妙に艶っぽく色めいていて切なく、優しい。 今は、どうな…

こんな事、してる場合か

「ねえ、私の中でオシッコしてみてよ」 貴女はそう言う。そうだな、試してみようか、と思う。もう、いろいろと終わったのだから。 射精する事と排尿する事は、開口部は同じでも、息を吸う事と酒を飲む事ぐらいに、体の仕組みという理屈で区別されている。で…

こんな夜に

・・お前に乗れないなんて、 如何にもという感じのNHKのアナウンサーが、多分、清志郎が真っ先に報道される事を「馬鹿野郎」と思っていただろう、いつものニュースの時間、それも最後に滑り込むように、教科書通りの抑揚で原稿を読んだ。 でも、原稿が走…

日々を綴る

どこかに辿り着きたいのなら、 今いる場所に別れを告げる決心が必要だ。 ・・J.P.モルガン 昔、貴女に言われた言葉を思い出す。「いつも上を目指してばかりで、疲れちゃわないの。今、居る場所で充分じゃない。今の幸せに何故、満足できないの」 鳥かごみ…

倦むという事

蒼穹なれど、風が吹き荒れる朝。陽射しばかりが強く、春の和らぎはない。 このところ、すっかり飽きてしまった。飽きないはずの職業を選んだはずなのに、である。 自分が飽き症で、一度、そうなると厄介だということは、物心ついた頃から判っていたみたいだ…

たまには・・日記

音もなく佇む満開の桜の下には、いつしか桜色の影が望月に照らされて浮かび上がる。 誰もいない夜の公園に、ただ一本だけの桜の木は、酔っぱらいの喧噪に乱されることもなく、花見の賑やかな賞賛に浮かれることもない。 ただ、じっと咲き、静かに散って行く…

シュレッダーと学生保険

開業以来の個人データーが7000は超えている。二回以上訪れる人もいるのだから、少なくとも一万枚ほどの個人データーの用紙が溜まっていることになる。 先月から、その裁断を始めた。ところが、これまた開業以来の小さなシュレッダーで処理を始めたので、…

春の宵にはポルトガル

出会いは、ちょっとした思い込みによる勘違いだった。 随分と昔に、手術室で流していたBGMをコピーして持っていた。ただ、一曲だけ曲名を記した紙と曲順が違っていた。 コンピレーションのそのアルバムから、その奏者のオリジナルを聴きたくなって、ネッ…

小説家に

「嘲るような女達の笑い声や男達の吐く卑猥な息の音が聞こえた。空を切る鞭の音、背中の痛み、喉の嗚咽、そして私の、泣き声。私、泣いていた」 髪を後ろに強く引かれて、上を向いたまま苦しそうに貴女が続けた。「閉じれない膝で四つん這いのまま、闇の中で…

創作楽市

私をそのサイトに誘ったのは、貴女だった。知人が立ち上げるので、参加して欲しいとのことだった。「お伽噺を信じていた頃・・」 私が作品を寄せる代わりに、と、貴女は自身の淫らな物語をそう語り始めた。「薔薇の花びらのベッドで、優しい瞳の王子さまに抱…

日記(桜の蕾、揺れる夜に)

やっと某局の五月分の原稿を書き終えた。どうも今回は調子が悪い。不作だ。こんな調子で八月まで後十三作品、書けるだろうか。 突然の春の風の中、突然に交わりたい。闇の中、はばかりのない声を上げさせたい。 人は、ふと、道を踏み外すのかもしれない。己…

日記(菜の花が咲いた朝に)

ひと息に、黄色に染まった。道の両脇で一面の菜の花が揺れる。「菜の花と聞くと、あなたの『春の駅』という文章を思い出すわ」と貴女。 実は私も、あの光景を思い出す。ローカル線の無人駅で時刻表も必要ないほどにしか便がない列車を、あてもなく待っていた…

永遠の「瞬間」

その瞬間、腰を震わせながら私を抱き締める。 その瞬間、緩めた唇のまま足先を反らす。 その瞬間、右半身に鳥肌を立てる。 その瞬間、胸元に桜色の染みを浮かべる。 貴女は、その瞬間の自分の肌を知らない。自分の表情を知らない。自分の淫らを知らない。 そ…

日記(三月の嵐の夜に)

冷たい風に雨が舞う。 こんな夜のドライブには、リック・ブラウン(音が出ます!)「Kisses in the Rain」 びしょ濡れのキス、というよりも、 キスの嵐・・がいいかも

心なんて

朝、目覚めて、今日も目覚めた事にそれほどの感慨もないのだか、何となく人生が続いているのか、と半ば安堵する。「心を閉ざした方が、感じられるわ」 明日の朝、目が覚めないのではないか。もう二度とはこの世界に戻れないのではないか、と眠るのが怖かった…

キスが欲しい場所へ

限られた「はてな」の招待者の方は気がつかないかもしれないが、実は、昨日からプライベート・モードになっている。つまり非公開モードなのだ。 認証には「なぞなぞ」の回答スペースに、文字を打ち込まないといけない。「キスが欲しい場所、という質問にして…

ホテル・コステス

夜半には抜けるはずの狭い等圧線が、朝まで残っていたみたいだ。北西からの冷たい風に、時々、車が揺れる。 中学に入る前だったか、一度だけラジオ短波に耳を傾けて、等圧線を白地図に描いたことがあった。 知らなければ暗号の羅列のような数字が、淡々と読…

雨の日なのに

三日続けての雨模様だけど、今日は昨日よりも柔らかな空気だった。雨音というブレンドコーヒーを飲もうと、思った。 ・・が、しかし。 壊れていた。スイッチは点灯するのだが、音沙汰がない。六年目になってコーヒーメーカーが、天に召されたようだ。 雨音は…

営みの日々

朝、目覚め。食事をして、排泄をする。夜になり、目を閉じる。過ぎて行く日々は何のために、とふと思う。 答はすぐに脳裏に閃く。・・貴女と交わるために、と。

美という痛み

オオオニバスは、二夜だけ大きな花を水面に開くらしい。ラジオでそんな事を言っていた。 丁度、「痛みが美に変わるとき」の松井冬子がゲストだった番組の後のプログラムだったから、余計に感じ入ってしまった。 痛みが美に変わる、のではなく、美は初めから…

薄紅の骸

まだ芽もつけていない桜の根元で 一羽のカラスが無心に地面を掘りおこす。 桜の紅でも埋まっているのだろうか。

休み明けの朝

緑色の斜面を犬が駆け下りる。 私は橋の上、今日も仕事に向かう。 黄砂の予報というも底冷えの朝。 春はまだ、されど、春とて何があるわけもなく。 今日も、橋の上から流れを眺める。