空中楼閣*R25

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2008-08-21から1日間の記事一覧

天空の桃林

今度は空中なのね、と伝えると、硝子の箱はどこにでも作れるよ、と彼から返事があった。 確かにそうかもしれない。彼は、透明な閉鎖空間が好きなのだから、それが地上にあろうと、空高くにあろうと関係ないだろう。 彼の部屋で蒼い光に揺れる水槽も、植物園…

桃の香りと戯れる午後

両手で包み込むようにして、貴女の白い球体を捕まえる。肌触りのいいスカートを捲り上げると貴女の湿度が香り立った。 細長いテーブルの端に両膝を揃えて突いて四つん這いのままで、貴女は火照った頬を冷たい天板に寄せて熱を冷ます。その顔が美しく乱れてい…

桃に耽る日々

左の親指で捲り上げて、ピンク色が白く滲むような付け根まで剥き出しにした。 貴女が隠し持っている水蜜桃は、他の人よりも一回りは大きいけれど、貴女はそんな事はきっと知らないだろう。 夏を待つ陽射しは思いのほか強くて、少し傾き始めたこの時間にでも…

夭夭たる桃

あれは、初めての漢文の授業だったと思う。 真新しい教科書のあるページから目が離せなかった。桃夭(とうよう)という詩経の有名な詩だった。 無論、正しい解釈ができたわけでもない。ただ、その漢字から受けるイメージだけで、私は甘い感覚に陥っていた。…