空中楼閣*R25

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して・・欲しい

 まるで新しい玩具をみつけた子猫みたいに、貴女は嬉しそうな表情で唇を舐めた。

 小さく尖った舌の先が妙にエロチックで、キスをして互いの舌先を感じ合うときの感触を、私は思い出していた。

「嬉しそうだね」
「だって・・嬉しいから」

 私の付け根を左手で握って硬さを保たたせながら、尖端に顔を近づけて舌を伸ばした。舌で螺旋を描いて私を湿らせると、右手で恐る恐るゴム製品を当てがった。

「そんなにソフトにしなくても大丈夫だよ。それに、それでは上手く出来ないよ」
「だって、初めてなんだもの。男の人に付けるの」

 そう言いながら爪で傷つけないように指の腹を私に押し当てて、尖端からクビレへと滑らせる。

 私の部分を見つめる真剣な貴女の眼差しに、思わず頬が緩んでしまう。

「なんで笑ってるの。貴方こそ嬉しそうよ」
「真剣に硬くなったものを見つめてるから、ついね」
「だって、別の生き物みたいだから。それに私を気持ち良くさせてくれる」

 そこだけを気に入られるとしたら、男性としては喜ぶべきことなのか、あるいは人としては悲しむべきことなのか。

「そこと私とどっちが好き?」

 下らなく浮かんだ考えで、下らない事を聞いてしまった。貴女は、付け根のほうまで濡らそうと、顔を斜めにして私に舌を這わせていた。

「こっちかも・・嘘よ。貴方よ。あ、でも、両方かな。うん、両方欲しい」

 一度は上げた顔を、貴女は返事の途中から次第にうつむかせ、最後は私の硬さに話かけているみたいだった。そのまま顔が近づいて、私を唇で包み込んだ。

 貴女の髪が私の腰を覆う。そのまま頭が上下に揺れ始める。いつもとは違って、ゆっくりと近づき、急いで離れる。

「な、何してるの」
「・・う、うぐ、ううん・・ああ、ダメだわ」

 赤い唇から透明な糸を曳かせながら、貴女が息を吐いた。

「無理だわ。口で付けられない」
「そりゃ、無理だよ。指でなくちゃ」

 そう言いながら、私は貴女の腰の間にあった自分の左膝を軽く曲げて、花びらに押し当てた。

「あ・・だめ」

 裸の腰からは白いコードが伸びていて、それは貴女の内側で快感を与え続けていた。膝頭で奥深くからの震動を感じながら、更に押し付けた。

「ああん、出来なくなる・・ぅ」

 私を握りしめたまま貴女が体を反らした。自分の体内からの感覚に集中するように目を閉じて、やがて腰を左右に揺らし始める。

 小さなモーターは、貴女が私に夢中になっている間も少しずつ子宮を溶かしていたみたいだ。

「もう・・ねえ、いいわ、これ要らない」
「何が?」

 何が要らないのかと訊く前に、貴女の指先が私から中途半端にがぶったゴムの帽子を引き剥いだ。

「コレして欲しいって言ったじゃない」
「いいの。もう、いいの。それより、ねえ・・欲しい」
「ダメでしょ、付けなくちゃ」
「やだ・・そのまま、欲しいの。出していいから」
「でも」
「でもって、嫌なの?」
「そうじゃなくて、その前にそこを埋めてるものを引き抜かなくちゃ、ね」

 私は手を伸ばして、貴女から伸びた白いコードに人差し指を絡めると、力を加えた。

 とろりとした貴女の欲望とともに、バイブレーターが抜け落ちてきた。