空中楼閣*R25

*リンク先が不適切な場合があります。ご容赦を*

コットンクラブ

 改装中の地下街でいち早く始めた居酒屋には、にぎり鮨のカウンターもあって、昼下がりというのに板前が三人も控えていた。

 出羽桜を二合と刺身、焼き物を頼んだ。刺身は鯛にホッキ貝、鮪、烏賊だった。焼き物の軽く粕漬けにされた鰆は、酒粕よりも煮切り醤油の出汁が良く効いて、とても美味だった。

 最後に握りを頼んで、腹ごしらえは終了した。

 チェックインして最初のシャンパンはテタンジェを開けた。暮れていくビル街を見下ろしながら、お湯を使った。

 頃合いよく支度をして、ナイトクラブへ向かう。ここでもシャンパン。

 マネージャーが用意してくれたのは、ステージ真正面のボックスシートで、ステージ前のシートから二段程上にあって、歌い手の目の高さだった。

 左隣りのボックスには、年齢差のあるカップル。その向こうのボックスは、いかにも起業家という感じの若い男性とモデルのような女性。右は中年男性の四人連れだった。

 シートからは、店内の席が全部、見渡せた。ダブルデートや二組の夫婦連れ、似つかわしくないカップル、やたらと抱き合う二人、所在なげな女性二人、それにジャズ好きという感じの白髪の男性三人。

 ステージ最前列は、カップルのその父親達だろうか。最後にウエディングの三次会とおぼしき男女六名が席についた。

 開演前の食事は、アミューズはサーモンとオリーブにシューが添えてあった。アペリティブはロースト・トマトソースを添えたスズキのポアレ、メインは和牛ステーキとフォアグラにラズベリーのハニーソースだった。なかなかしっかりとした料理だった。

 ジャズが始まる。心地よい音楽に揺れながら、マッカランの18年とオリーブを楽しんだ。

 オレンジのネクタイをしたマネージャーの見送られて、部屋へ戻った。部屋にはローランペリエと良く冷えたベリーがセットされていた。

 今度は夜景を眺めながら微かなダウンライトの中で、ブルーベリーを摘みながら、今日、二本目のシャンパンを空けた。ボーズのプレイヤーから流れるジャズのコンピレーションで部屋を満たしてから、眠りについた。

 たまには、こんな週末も良いものだ。ああ、よく飲んだ。良く酔った。善く眠った。