空中楼閣*R25

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白秋の紅い実に(3)

 濡れて震える粘膜を貴女の揃えた指が被った。中指を幾分、押し付けるようにして、その手がアヌスの近くから飾り毛の起伏のほうへと引き戻される。

 後ろの粘膜の収縮とともに、二つのホクロが蠢いた。

「あ・・ああ」

 男の腰から顔を上げて、貴女が喘いだ。

 中指の爪が綻んだ花びらを押し開きながら、小さな果肉を撫で上げた。その突起の頂きに結ばれていた蜜玉が、指を濡らして、花びらに塗り拡げられる。

 蜜が弾けるときの淫らな音がした。指を開いて、蜜の秘密を私に披露する。狭間の奥まで、陽射しが入り込んだ。

 腰のうねりと共に、細かな横縞の粘膜が上下に分かれて口を開く。ゆっくりと透明な蜜が流れ出し、開いた指の股まで濡らしていった。

「見えます・・か。ああ・・奥まで、見て下さい」

 喘ぎながら貴女はそう言うと、再び、白髪の男の部分に唇を使い始めた。

「私が言うのも、なんですが。なかなか美しいですよね。これの持ち物は」
「・・え、ええ。綺麗な色ですね」

 貴女の吐息が大きくなった。

「仮縫いだけしますので、その間、代わりのズボンをと思うのですけど・・」

 おずおずと貴女の家へ上がった私は、左膝の部分が裂けたズボンのまま、気後れして佇んでいた。

 なにしろ、大きな家だった。玄関の天井も随分と高い。こんな場所のこんな屋敷があったのか、と関心してしまった。

「合いそうなズボンがないので、すみません。これで」

 と、言った貴女の手には上等そうな厚手のバスタオルがあった。

「充分ですよ。縫ってもらえるだけでも、有り難いです。まだ、これから仕事もありますし」

 貴女はにっこりと笑って、私を奥の部屋へと促した。

「こんな格好で申し訳ないですなあ」

 縫い終わったズボンを手にもって現れた貴女は、それを私に手渡す前に、主の寝室へと私を招き入れた。

 重厚なベッドに横たわった白髪の主は、私のほうへ顔を向けて無礼を詫びてから、こう続けた。

「それにご覧の通り、私は久しくズボンなどは穿いていないので、バスタオルが代わりで失礼しました」
「いえいえ。足が不自由でいらしゃるのですね。大変でしょう」

 男は、それ以上は答えず、私もそれ以上の彼の不自由さへの詮索はしなかった。

「そこへどうぞ、座って下さい」

 スボンを返してもらえないまま、私はソファーを勧められた。

「これが迷惑をかけました。傷は痛みませんか」
「大丈夫ですよ。私のほうが悪いのですから」

 なにしろ、貴女の脚に見とれていたのだ。しかも、スカートの中まで気になっていた。

「私の身の回りを全て任せているもので」

 男の言うように、貴女は彼の身の回りの世話をしていた。性欲の処理まで全て。いや、実はそうではないのかもしれない。性を満たしたがっていたのは、彼ではなく、貴女のほうだった。

「災難にまで遭わせてしまった上に、お願いをするのも気が退けるのだが」

 どことなく灰色に見える瞳で私を見据えながら、そう言ってから、視線を貴女に移し、それから老人は窓の外を見た。

「あの・・私からのお願いなのです。妙に思わないでください。いえ、妙なお願いなのですけど」

 貴女に頼まれ事をされるというだけで、依頼事の内容とは無関係に心が浮き足立った。

「はい。私に出来ることでしたら、何でも」
「でも、お時間が。先ほど、お仕事の途中と」
「それは大丈夫です。今日中に片付ければいいのですから」
「そうですか。良かった」

 美しい唇が微笑んだ。それだけで、私は妙に華やいだ気分になった。腰には相変わらずバスタオルを捲いていた。

「お願いというのは、そこから見ていて欲しいのです」
「は・・はい」

 私の方を見つめたまま、貴女が上着のボタンを外し始めた。私は声が出なかった。状況がつかめない。

 喉が渇いて来る。これは、現実だろうか。

 その間にも、貴女はスカートを脚から抜き去り、ストッキングを脱ぎ、私の方を向いたままブラの外し、躊躇うことなくショーツを下ろした。

 秋の強い陽射しの中に、綺麗な曲線の全裸が浮かび上がった。白い肌に黒々とした飾り毛が淫靡だった。