<音もなく雨>
声にならない叫びが
濡れたルージュを震わせる
白いノドを仰け反らせて
切なく眉根を寄せて
足の指を丸めて
音もなく舞い降りる
細かな雨が散りばめられて
万華鏡が映し出されるガラス窓
淫靡なマッサージ器の騒音と
貴女の甲高い悲鳴が
響きわたる部屋
「イキなさい・・コワレルマデ」
<約束という言い訳>
柔らかな唇で
奪うように重ねる
「冷たいのね」
過ぎ行く夏に
肌を映すガラス窓
遠く街の灯が輝き始めて
「次は・・もう」
カラダごと預けながら
ベッドへと押し倒し
豊かな太腿で
腰を挟んで上になり
狂おしげに沈めていく
「逢えないかも知れないのに」
・・貴女
花びらまで涙