空中楼閣*R25

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秘密、もしくはホクロ

 貴女の一番、気持ちがいい場所は、二人で見つけた秘密のホクロが目印だった。それは、貴女の花びらの雌しべを被う粘膜にあって、快感に膨らんだ時の頂きを少し左に下ったところにある。

 以前、何処かでそう綴ったら、突然、女性からコメントを貰った。

「どうして私の部分を知ってるのかと、ドキリとしました」

 私は貴女のその限られた部分への愛撫を丹念に詳細に綴ったので、その女性は、まるで自分が触れられ、キスを受けているかのような錯覚に陥ったらしい。

 実は、ホクロは年齢とともに増えて行く。それに床に置いた鏡でも跨がない限り、自分では見る事の出来ないホクロも少なくはない。

 もう一つ、知覚に限らず人の神経は左右に分かれている。だから、身体の真ん中より、少し左右のどちらかにずれた部分が一番、微妙な知覚を覚えるはずだ。それは皮膚と粘膜の境界が、末梢神経の境界として快感へと繋がる知覚の場であることと似てるかもしれない。

 だから、二人だけが知っているホクロも、感じる部分も、秘密というほどのものではない。

 本当の秘密は、キスの感触だったり、抱き合ったときの匂いだったり、交わった時の溢れる感覚だったりする。抱き締められて蕩けるのも、キスで濡れるのも、特別な二人だからこそ感じられる事なのだ。

 秘密は、言葉や文字には出来ないものだから。