何一つ、欲しがる事は無かった。例え、外出先で喉がどんなに渇き、歩くことに疲れていたとしても、飲み物や休息を欲しいと言った事はなかった。 与えられた物と与えられた時間と空間の中で自分を満足させて来た。他の子供の持ち物を羨ましがることもなく、欲…
多分、泣いていたのだと思う。哀しいわけでもなく、辛いわけでもなかった。それよりも、痺れるような快感に犯されていた。 気がついた時には、頬が濡れていた。目の下が痛かった。大きな声で泣き叫んでいたような気がした。全てが崩れ落ちていた。見栄も外聞…
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