空中楼閣*R25

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性愛事情

 シャドーの色を見せながら、目蓋を閉じる横顔が白いシーツに埋もれていた。

「今までの彼達は、どんなふうに貴女を揺らしたの」
「え・・そんなこと」

 気持ちのいい微睡みの途中で揺り起こされたかのように、甘く気だるそうに貴女が呟く。

「答え難いよねえ。いや、どんな揺らし方が心地よいのかなって」
「ふふ・・だって私、今、とても気持ち良さそうに見えてるでしょ」

 貴女は天井を向いたまま目を開いてから、曖昧な視線で再び目蓋を閉じた。

 膝を深く曲げて、大きく拡げた腰に自分を交わらせながら、貴女に覆い被さっていた。丸い肩に歯を立ててから、緩やかに揺れる貴女の横顔を見つめる。

 私のキスに濡れた耳のカタチに、細い髪が張り付いていた。

 交わりの粘膜の感覚を、ひとヒダずつ確かめるように、それはゆっくりと貴女を揺らしていた。

 男は女に聞きたがる。感じるか、気持ちイイか、と。

 自信がないわけではない。むしろ「イエス」と言わせたいだけ。女の「イエス」に男は熱くなる、それだけのこと。

 本当は尋ねなくても、正直な感覚は触れ合う粘膜から伝わってくるはずだった。実は、あの時、私は不安になった。そう、自信を無くしたのかもしれない。

 だからといって、貴女を感じ取れなくなったわけではない。むしろ、その逆で貴女で満ち過ぎた。だから貴女の細波を感じとれなくなった。

 ずっと貴女は溢れていたから、潮が満ち続けると、その干満が見えなくなるのと同じことだった。

「私、気持ち良さそうに見えてるでしょ」

 貴女の答えは最高のものだった。「イエス」よりも、ずっと素敵な答だった。

 目を閉じて背中を反らし始めた貴女を、少しずつ深く大きく、強く揺らしていった。・・二人が境界線を失い、何度目かの頂きを昇るまで。