空中楼閣*R25

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恋愛事情

 ココ・シャネルは、「打算のない恋愛をするには、まず女性の経済的な自立が必要だ」と言ったとか。

 裏返せば、生計を一つにする男女に打算のない恋愛は育たない、という事か。

 愛だけでは空腹は満たせない、とか、金の切れ目が・・とか、とかく恋愛事情には経済事情が絡み付くのだと言わんばかりの文言が多い。

 シャネル自身は恋人、アーサー・カペルから経済的援助を受けていた。

だから、ケジメのような気持ちもあって自立したがったのだろうし、何よりも経済的に自由な立場から自分の恋心を見つめ直したかったのかもしれない。

 いわば、順序が問題だった。恋が先にあって、金銭が後からついてきた。だから自分の恋のためには、まず自立をと強く思ったのだろう。

 と、ふと思う。まさしく、世間の恋愛結婚はこの順序ではないか。ならば、金銭が先で、恋愛が後からついて来る関係は・・。

 それもまた、打算からは免れられない。やはり先人の格言は物事の真理を突いている。

 打算のない恋をしたいなら財布は別々ということか。だが、別々ということ自体もまた、恋が経済問題に絡めとられているという事、そのものではないか。

 だが、それでもいいだろう。

 何しろ盲目であり、夢のようであるべきだから、そこに飲食代の心配はないほうが良いに決まっている。それが、割り勘であろうが、どちらかが支払うのであろうが。

 つまり、恋は経済から自由にはなれない。打算とまでは言わないが、算段は必要だ。

 だから、もし恋と愛を区別するとしたら、私はその人のためなら餓死してもいいという心を・・愛と呼びたい。

 シャネルは誰を、何を愛したのだろうか。アーサー・カペルでは無さそうだ。何しろ、彼女はこうも言ったのだから。

「男は子供のようだと心得ている限り、貴女はあらゆる事に精通していることになる」