空中楼閣*R25

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ダイニング・テーブルとティー・スプーン

 彼に誘われるまま、私はショーツを脱ごうと膝を折り曲げた。・・あ、冷たい。膝頭がショーツの潤みに触れて、すっかり濡らしていることに自分でも驚いた。

 目を凝らすと、潤みが細い銀色の糸を曳いていた。

「ダメ、これ以上、日常に入り込まれたら・・私」

 私が戸惑うたびに、彼は嬉しそうな顔をする。

 昼下がりのダイニングで脱いだショーツを椅子の座面に丸めて置いてから、私は普段着のスカートのまま、家族が今朝、食事をとったテーブルの上に腰かける。

 素肌を晒した腰を軸にして身体を捻り、素足のままの両脚をテーブルに載せてから、天板の硬さに身を横たえた。

 普段は見ない風景が視界に入る。ダイニングテーブルに横たわるなんて、慣れ親しんだ食卓なのに、初めて見る風景なのだ。不思議な感じがした。

「膝を軽く立てて、腰を開いたら、スカートを胸まで捲り上げなさい」

 彼の声が耳元から聞こえる。日常の光の中に黒々とした飾り毛が晒される。その飾り毛の向うで濡れた部分が、期待に震えて呼吸しているみたい。

 頭の上の窓の向うから、ご近所のいつもの音が聞こえて来る。私、何してるんだろう。

 しっとりと濡れてしまったショーツを、左手の中に小さく丸めて握ったまま、テーブルの上で右手を少しだけ動かした。

 コツっと微かな金属音がして、爪の先がティースプーンに触れた。テーブルに横たわる前に、彼に言われるままに用意したスプーンだった。

「左手で貴女の膨らみを引き上げたままにしておくと」

 細身のスプーンを右手で持って、左手を火照った膨らみに添えて、自分の陰りを手前に引っ張るようにした。

「雌しべが硬くなってそそり立つでしょ」

 膝を立てて拡げた腰の狭間で膨らみを手繰り寄せると、潤んだ粘膜が恥ずかしがるようにクゥうと窄まった。

 ああ・・なんだか、雌しべが膨らむような暗示にかかる。

 交わっている時に、彼に見なさいと言われて初めて見た自分の粘膜を思い出す。紅い突起が張り裂けそうなくらいまで膨らんでいく。そんな映像が、目の前の見慣れた家の天井に映し出される。

 日々、家族が集うテーブルで、日々、家族が使うティースプーンで、私は淫らな行為を始める。彼に導かれて・・。

 左手が汗ばむ。右手の中でスプーンを回転させて、匙の部分を摘む。そのまま、剥き出しになった突起を、シルバーの柄の先で触れた。

「あ・・ああ・・ぅ」

 背中が硬い天板から浮いた。腰が甘く痺れて、震えた。

「ほら、蜜が溢れてアヌスまで濡れてきた」

 いや、言わないで。声が出ちゃうから。

「スプーンの先で小さく螺旋を描いて、やさしく、そっと、硬くなった突起を潰さないように」

 もう・・だ・・め。奥まで・・欲しくなちゃうもの。

 ねえ、だから、これ以上、私の日常を犯さないで・・明日から、私、ここで食事が出来そうもない。家族の前で独り密かに、身体が火照ってしまいそうで。

「それなら今日は、ここで、終わろうか」

 あ、ダメダメ。お願い・・止めないで。