空中楼閣*R25

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予期せぬ甘さに

 あれ・・こんなに、だったけ。油断すると意識が腰からの快感に埋もれそうだった。

「どうしたの?」

 揺らしていた腰を止めて、貴女が怪訝そうな顔をする。

「いや、大丈夫・・気持ちイイなあって」
「大丈夫って、変なの」

 私は貴女の腰を両手で包んで、前後の揺らし始めた。硬さを根元から先端まで締め付けられながら、奥の方で貴女のシコリを感じ取る。

「いいなあ。こんなだっけか」

 つい、口にしてしまう。そんな言葉には女は敏感に反応する。喘ぎ始めた唇を閉じて、眼差しに焦点を結ぶ。

「さっきから、何かと思えば、そういうこと言うわけね」

 地図しか読めない男は、不意打ちに弱い。想定外には策略も浮かばない。特に、こんな快感を受け続けているときには、前頭葉は麻痺したままだ。

「率直に素直な気持ちだよ。凄くイイ」

 貴女が身体を前のめりにして、両腕で私の肩をつかみ体重を載せる。

「誰かと比べたでしょ」

 力を込めて揺らされると、余計に快感が腰を溶かす。

「まさか、違うよ。いつもより今日はいいなあって」
「本当かしら」
「あ、そうだよ。こんな昼前の時間にキスしたりしないから」

 まだ、お昼まで一時間はあった。お昼の時間に抜け出して交わる事や、夜の時間を過ごした後に、昼下がりまで触れていることはあったけれど、ウイークデイのこんな時間に、貴女の部屋で交わったのは初めてだった。

「だから、かな。いつもと違う感じだから」
「ふふ・・良かった。この・・」

 貴女が人差し指で、私の額を突いた。

「この脳みそで他の女のことを考えていたら、頚絞めるとこだった」
「頚じゃなくて、違うとこはいくらでも絞めて欲しいけど」

 そう言いながら、貴女の両肩を押し返した。二人の角度が深くなり、私の先端が貴女の女に突き当たる。

「・・は、あああ」

 綺麗に背が反って、桜色の乳首が張り詰めた。鈍い光に乳房の肌理が浮き上がる。

 窓の外、幾筋もの光の帯が空から降りていて、天使の梯子をゆるりを白鷺が舞う。心地よい美しさに、時間の長短は関係ないのだろう。

 予期せぬ快感は、刹那でも甘く心を刻む。