弛緩する身体
奥まで含むたびに、鎖が床を叩く。巻き付けた紅い皮の首輪の重さを感じさせられる。
自分で自分を犯すように、喉の奥までディルドを呑み込む。嗚咽を数回堪えると、意識が遠ざかる。
力が抜けて腰が落ちる。床に突いた膝が左右に滑って、腰が開く。ベルトで固定された淫らな蝶の小さなペニスが、私の奥を掻き乱すピンクの玩具を子宮に押し付ける。
「ううう・・あ」
快感が背中を駆け上り、意識が引き戻される。脊髄だけで動くカエルの反射みたいに、身体を反らす。
戻った意識はすぐに快感に包まれる。息継ぎのような理性に邪魔はさせないぞと、私を溺れさせる。
「どうした。お尻が欲しそうに揺れてるなあ。いやらしい」
滲む視界の先で彼の声がする。
どうして、唇が気持ちイイんだろう。シリコン・ラバーで覆われた性具を舐めているだけなのに。
お腹の中で暴れ回るピンクの繭が、ぼやけてしまいそうな存在と時々、主張する。花びらの入り口に張り付いて、私の中へと食い込んでいる蝶々は、音の高さを変えながら蜜を絶やすまいと汲み上げる。
あ・・また、逝きそう。遠くから強い疼きがカタチを現す。
「お尻が緩んだり、窄んだりしてるでしょ。欲しくて仕方ないんじゃないかな」
逝きそうなのに、そんな事、言われたら。腰の奥が収縮して熱くなる。あ・・ダメだ。
「あああ・・だ・・め」
「口にくわえただけで、逝くんだ。イヤラシいねえ」
彼の声が遠くなる。子宮のケイレンが腰を波打たせ、乳房を強ばらせる。気がつくと、吐き出したディルドを両手で握りしめていた。
力を抜こうと、吐く息が震えてしまう。
「入れなさい」
彼の声がする。入れる・・自分でお尻に、自分の唾液に塗れた男性を突き立てる。
ああ・・いやらしい。そう思ったとたに、蝶が蠢く。繭が跳ねる。だから・・ダメって・・ああ、身体が波打つ。
「また、だね。止まらないんだ」
唇から唾液が溢れる。
「お尻からもヨダレが出てそうだね」
そんな事・・ない。
「入れなさい。ほら、自分のお尻に」
だめ・・オカシクなるから。