空中楼閣*R25

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古(いにしえ)からのギフト

 いつだったか、冬至から大晦日までのこの慌ただしい時間について書いたことがあった。

 つまり「冬至から聖夜、そして大晦日は、大昔、同じ日だった」という話だ。

・・永遠を閉じ込める日々・・

 デスクの上を黒いヒールが滑っていく。貴女の吐息とともに、パンプスのサイドを飾る三連の細い金色のチェーンが小刻みに揺れた。

 今日は冬至だという。

 太陽が死に、再び生まれる日だともいう。その太陽は冬の分厚い雲に隠れてしまった。暖房の効いた部屋では、貴女が何度目かの頂点を迎えようと、赤いマニュキアの指を忙しく動かしている。

 艶かしく肌を透かす黒のストッキングには、細い足首のところでシャーベットオレンジのショーツが絡まっていた。

「ああぁ・・」

 デスクに横たわった貴女が声を漏らす。立てた両膝の高さが交叉して美しい。その片方が痙攣のたびにゆっくりと伸ばされる。

 太陽が生まれ変わる冬至と、死後に復活をしたキリストの生誕を祝うクリスマス、それに一年が終わる大晦日の三つの日は「以前には同じ日だった」という文章を読んだことがある。

 だとしたら、冬至の今日から大晦日までの日々は、一日のようなものだ。この年の瀬の一週間は空白の日々だ。

 そんな日々を、温かい部屋で貴女に淫らなことをさせて過ごす。なんとも、贅沢ではないか。

 まるで時間の流れから取り残された永遠のようだ。

「逝きそう・・なの」

 蜜音が大きくなって、飛沫となった。私のオフィスに貴女の淫らが満ちている。貴女の花びらは大きく開いて、その内側の細かなヒダを迫り出すように蜜を吐く。

 スカートの裏地まで汚しそうだった。

 私は片手を伸ばして、滴り落ちる蜜を指先で塞き止める。掬い取るようにして、アヌスに塗り込めてあげる。

「だめ、またイッ・・ちゃう」

 貴女は永遠の愛に包まれたいと言った。永遠も愛も、誰もが身勝手に都合良く意味を捉え、それが共通の真理であるかのように人にまで押し付ける言葉。

 力だけ強くて、曖昧な言葉。それを二つも重ねるなんて・・永遠の愛、だなんて。

 昔、「愛なんて言葉は、ないほうがいい」と私が書いた時、貴女は酷く真面目な顔で「なんて酷いことを言うの」と私に怒った。

 けれど、至高の愛があるのなら、卑劣な憎しみも産まれるだろう。永遠という幸せが存在するのなら、永遠の苦しみからは誰も救われないだろう。

 だから、私は永遠という言葉も、愛という言葉も要らない。惑わすだけの言葉は要らない。

 もし、それでも貴女が永遠を望むなら、この部屋の、このデスクの上で、全てが蕩け堕ちるまで逝き続ければいい。やがて、二人の部屋には貴女の望む愛が産まれるだろう。

 何故って、それが私の望む永遠、私の欲する愛だから。

「逝っていい・・ああ、もう」

 ほら、もっと・・続けて。疲れたら、その真っ赤な雌しべを咬んであげるから。