エロスの女神
貴女は、とても柔らかい体をしていた。
ワルツが上手く踊れる相手のように、背中に触れた手にほんの少しだけ力をこめただけで、貴女は私に思うように体を動かした。
膝の内側を私の膝で少し押すだけで、貴女は腰の角度を変えた。
「あなたに触れられると体が溶けちゃうの」
貴女の言葉も私を溶かす。
私の指は貴女の内側に触れて蜜の糸を曳き、唇は硬くなっていく貴女の弾力を感じ取っていた。
「ああ・・咬んで」
膝を胸の両脇で折り畳んだまま、背を反らして、私が含んだ乳房を突き出した。キスを強くして、歯を当てる。果実を噛むようにじわりと力を加えた。
「あぅう・・ぅ」
貴女の白い咽が震える。その間にも、蜜に溺れた私の指はその数を増した。人差し指と中指に薬指まで貴女に埋もれてしまう。
開いた腰がうねりながら小さな波を打つ。
「子宮が動いてる」
紅く濡らした胸の先から顔を上げて、貴女に呟く。
「だって・・感じるんだもの」
指を動かす。蜜の音が響いて、貴女が声を上げる。指を包み込む粘膜は、私を引き込んでは押し戻す。押し戻して震えると、また奥へと誘い込む。
濡れた乳房の脇にある膝の内側に唇を移した。口を開いたままで貴女に押し付けて、それから舌の先を這わせた。
「ああ、だめ」
「くすぐったいの?」
貴女は喘ぎながら顔を振って、両手で自分の足先を握った。
「欲しい。ねえ、して欲しい」
私は体を一度、離してから、埋もれている指を上下に動かした。貴女が悲鳴にも似た嗚咽を漏らしながら、私の手の中に液体を溢れさせる。
「いや・・ああ、いや。だめぇ」
「嫌なの?」
手を止めると潤んだ眼差しが私を見つめ、小さな声で訴えた。
「やめないで」
掌から溢れた貴女がこぼれ落ちて、シーツに染みを拡げていった。貴女は足先を握っていた手を離して、シーツにしがみついた。
そのまま柔らかな体が何度も痙攣をしてから、私は貴女と腰を重ねた。
「あ・・ゆっくり・・ああ、そう」
キスをする。貴女の腕が私に絡み付く。
「気持ち良さそうな顔だね」
貴女をシーツに押し付けながら、耳元で囁いた。
「うん、気持ちいい。でも本当は、交われるかどうか、怖かったの」
「どうして?」
「だって、私、久しぶりだったから」
「そうなんだ」
脳裏を貴女の過去の男達がよぎる。それを追いやるように腰を深くした。硬くなった私の先端が、貴女を押しつけ揺らし始める。
その部分が次第に小さく震え始めて、貴女の腰が弾み出した。
「感じるよ。奥の方が震えてる」
「そうなの?私、感じてるのよね」
そう言って貴女は顔だけを上げて、交わっている部分を覗き込もうとした。
「見たいの?入ってるところ」
「見たいけど、見えない。ああ、でも」
「何?」
「でも、こんなに開くのね。女の腰って」
貴女の体はとても柔らかい。溶けてしまうくらいに。