空中楼閣*R25

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邂逅

 風も無く、時間が静止したような青空のもと、絶え間なく色づきが落葉する。

 はらはらと紅色や黄色が音も無く降り続ける公園は、まるでその場所だけが、時の流れを目に映しだすスクリーンのようだ。

 某哲学者が新聞に記事を寄せていた。彼自身を哲学へと導いた今は亡き恩師のことだ。そして彼は、こう結ぶ。

「出会いは、その時だけでは完結しない。出会いは、鬼籍に入ったあとも続くのだから」

 出会った相手がこの世を去っても、自分の中で折りに触れ、その人が現れる。

 降り注ぐ彩りを眺めていると、落葉のカーテンの向こうで、その人が息づいている気分にもなる。

 私が出会った人々は、ずっと私の中に居て、時にこうして現れる。それが、出会うということだろう。

 なんだか、温かい紅茶が飲みたくなった。