1==アジアン・ビール
彼はベッドに腰をかけて二本目のビールを飲み干すと、コツンと乾いた音をさせて空になった小振りな瓶を床に置いた。
そのまま手を離さずにビール瓶を私の前まで滑らせてから、私の顔をじっと見つめながら身体を起こして座り直した。
床の上に足を崩して座って、ビールを美味しそうに飲む下す彼の喉仏を見上げていた私は、スカートの裾を気にしながら静かに腰を上げた。
彼の真正面で立ち上がって足を肩幅に開くと、いかにもアジアンテイストのラベルがついた褐色のビール瓶を跨ぐようにして立った。
スカートを両手で摘まみ上げながら、ゆっくりと腰を下ろす。開いた膝よりも腰が低くなったところで、瓶の冷たさが下着を穿いていない腰に触れた。
ビール瓶の上にしゃがんだ姿勢で彼に視線を戻した。満足そうな顔。そう彼のその顔が見たくて、私はビール瓶を自分に突き立てる。
片手を開いた腰の下、スカートの中へと入れて瓶をつかむと、今度は自分の腰を揺らして位置を確かめる。意識が花びらへと落ちると、視線が何故か、上向いてしまう。
「その顔がいいなあ」
彼が呟く。知らぬ間に、自分の唇が淫らを吐き出すときみたいに緩んでいた。
瓶の首を逆さにつかんでいた手の親指を伸ばして瓶の口を確かめた。彼の唾液で濡れている。単にビールそのもので濡れているだけかもしれないけど、でも彼の唾液であって欲しい。
手首の内側に触れる飾り毛が邪魔だった。
彼は、濃く生えた私のその部分が「卑猥で良い」とは言うが、彼のものにせよ、電動玩具にせよ、ビール瓶にせよ、自分で入れるとなると邪魔な感じだ。
口移しで一本目のビールを飲まされて、すっかり粘膜はだらしなくなっていた。ビール瓶でもいいから欲しがっていた。
硬質な感触を滑った潤みに宛てがって、自分が思うよりも少し後ろの位置で腰を落とした。
「・・あっ、ああ」
彼の唾液が花びらに呑み込まれる。硬い冷たさが、余計に淫らを刺激する。微かな痛みに顔を顰めてから、大きく口を開けて息を吐きながら深くまで突き刺した。
「うぅ・・あ・・イイ」
声が漏れると、自分でも締め付ける感覚が判る。ジンとした鈍い疼きが、じわりと這い上がって、ブラの中で乳首を硬くさせると、一気に快感に支配される。
瓶の胴体をつかんで、ゆっくりと腰を浮かす。快感が離れる手前で、また腰を落とす。一回目よりも、はっきりと気持ちよくなる。奥まで沈めないで、途中で折り返す。粘膜は擦れる感じが腰の奥から身体を震わせる。
「ああああ・・」
目を閉じて、喉を鳴らす。
「気持ちイイか、そんなに」
彼の声が閉ざした視界の中で響く。
「は・・はい」
従順な受け答えに自分の中でスイッチが入る。
「気持・・ち、いい・・です」
「もっと、腰を使いなさい」
「あ・・ああ、はい」
快感の中途から目一杯、腰を落とす。押し開かれた花びらがメリっと音がする感じ。ああ、これがいい。一杯に奥まで、自分でくわえ込む。汚れたビール瓶を子宮に押し付ける。
意識が蕩けていく。
最初のときもそうだった。あの時は、気取ったフレンチ・レストランだった。私はテーブルの脇で、床に置いたシャンパン・ボトルに犯されていた。
違う。ボトルを犯していたのは私だった。