戯れはテーブルの下で

感じの良いお店ね。

・・隠れ家のような入り口だけど、中からの眺めはいいねえ。

でも、ちょっと足元が冷たいかも。

・・暖房、強くしてもらおうか。

私、いつも足先が冷たくて、顔は火照っちゃうから。

・・掘りごたつだったら良かったかな。

このお店には似合わないわ。あなたの手、温かい？

・・温かいって言われるけど。ほら。

ほんと、気持ちいい。足の先だけ温めて欲しいくらい。

・・足先だけ温めてもだめなんだけどね。

ダメなの？

・・身体が冷えてるから、手足の血管が縮むんだよ。

熱を奪われないようにでしょ。でも顔は火照るのよ。

・・じゃあ、気持ちが緊張してるからかな。

緊張すると冷たくなるの？

・・緊張でも手足の血管が縮むよ。

顔は火照るの？

・・パンプス脱いで、足をこっちに伸ばしてごらん。

ええっ、今なの。

・・追加のオーダーするまで、誰も来ないよ。それに私からしか見えないし。

食事中なのに。

・・貴女の足なら構わないよ。私の手の代わりに、貴女は足を。

ほんとだ。冷たいね。

・・ね、そうでしょ。ああ、温かい。

緊張すると顔も青ざめるでしょ。

・・え、ええ、そうよね。火照るのは、緊張じゃないの？

緊張に２種類あるんだよ。

・・あ、なんか、くすぐったい。

怖いほうと、興奮するほう。

・・どういうこと？ああ、ダメって、そこ。

防御モードと戦闘モードだよ。

・・私、戦闘モードってこと？

可愛いね。足の指。薬指が感じるみたい。

・・そんな事ないわよ。

じゃあ、腰を揺らしたりしないで、じっとして。

・・ああ、もう。だって、感じるんだもの。

顔だけ火照るでしょ。

・・あん、そう。さっき、足先だけじゃだめって。

そうだよ。中心から温めなくちゃ。

・・どうやって？

この足の指から辿れば、中心までいけるでしょ。

・・だめえ、そんなこと。

膝が開きそうになってるでしょ。後で温めてあげるよ。