白秋の紅い実に(1)
閉め切った部屋の中では、秋の陽射しの強さだけを感じた。
その陽射しに灼かれるように、目の前では白く眩しい裸の腰が全てを曝け出していた。
私は、高価そうだけれども時代がかったペルシャ風の緞通の上に、スリッパ履きで、やや低めのソファーに腰を下ろしていた。
ベッドの脇に置かれた、これまた重厚なデザインの猫足のオットマンの上に、私に後ろを見せた貴女が拡げた両膝を突いていた。
腰を掲げ、頭を下げているので、膝の間から揺れる乳房の狭間を通して、小さな顎と濡れた唇が見えた。
紅い下唇が白髪の男の性器を呑み込んでいた。彼が、この家の主だった。
老いた身体をベットに横たわらせ、気持ち良さそうに目を閉じる彼の顔は、私の左手の方向にあった。右手のほうにあるはずの両足は薄い羽根布団で被われていた。
私の視線の高さに貴女のアヌスと花びらがあった。
明るくなっている部分だけが熱を帯びている気がした。部屋の空調は少し肌寒いくらいだが、快適だった。
陽射しが透明すぎて、腰の曲線が滲んでしまうほどだった。スリムな身体からは想像もできないほど、豊かな丸みを帯びた腰のラインが、貴女の頭の動きに合わせた小刻みに揺れていた。
茜色のアヌスが見せる細かな放射状のヒダも、その周囲に二つあるホクロも、そのホクロの辺りから生え始めて、花びらを包む膨らみへと続く飾り毛も、明るさの中で浮き上がって見えた。
拡げられた膝は、そのまま腰の狭間を左右に開き、花びらまでも綻ばせていた。掲げた腰を照らし出す陽射しが、二枚の桜色の隙間まで露にしてくれた。
左のドレープが少し大きく余分な折り目を見せ、その部分の縁のほうだけが色濃く、色素沈着していた。
僅かな隙間から砂浜に刻まれる細波の痕のような繊細な横縞が見える。その横縞を織りなす粘膜の壁、つまり彼女の天井が、時々、大きく呼吸した。そのたびに、アヌスまで息づいた。
花冠のような粘膜が、横縞の蜜壷を取り囲んで縁取っていた。そこから二枚のヒダの底を辿ると、小さな窪みの尿道口を経て、合掌するような小さな頂きに至る。
合わさった二枚の粘膜の下から小さな果肉が顔を覗かせていた。
水が跳ねる音がして、彼女の吐息が溢れた。
「申し訳ないですなあ。こんな事に、お付き合いさせて」
貴女に口を使わせたまま、横たえた身体よりもずっと張りのある声で男が言った。
「ああ・・いえ」
こんな状況でなんと返事をしても、間が抜けていそうだった。それに、私はズボンの代わりに腰にバルタオルを巻き付けていた。剥き出しの脛に靴下とスリッパが、いかにも格好悪い。
それでも、目の前の淫らな光景に反応すべきものは反応していた。
白髪の男のそれも、貴女の口の中で次第に力を増しているように見える。だからだろうか、貴女の吐息が少しずつ切なさを増している。
怒張した静脈が、紅い唇から見え隠れする。小さな泡が透明な唾液とともに滑り落ちて、根元を握る指を貴女の指を濡らした。
「私では、どうも不自由なもので。これがこんなお願いをして」
そうなのだ。誘ったのは貴女だった。
「・・ああ」
潤んだ声が漏れた。目の前の花びらが蠢いて、透明な蜜を横縞のヒダの奥から滴らせた。
花びらの合わせ目の小さな果肉の先端に、蜜玉を結ばれていく。次第に膨らんで、陽射しを集め出した。