蜜に溺れる
まるで、もう一つの性器みたいじゃない、と思ってしまう。
拡げた私の腰に顔を埋めて、彼がキスをくれる。粘膜で出来た触覚みたいな舌を尖らせて、一番、敏感な部分に留まっている。
じれったいような刺激に快感が広がって、腰は自然に波を打つ。背中が浮いて、吐息が漏れる。
熱をもった粘液がお尻まで私を濡らしてしまう。それが、彼の唾液なのか、私の気持ちイイ蜜なのか区別なんかつかない。でも、いつもシーツに大きな染みができる。
気持ち良くなり過ぎると、もう、何処にキスを受けているのかも判らなくなる。ただ、そこが何処で、彼がどんなふうに愛撫してくれているのか、確かめてみたくなるほど、気持ちイイ。
だから、私は時々、顔を上げて、自分の脚の間を確かめようとする。
「ああ・・ねえ、何してるの。凄く・・いい」
その度に彼は、平然とした表情で言葉を返す。唇から顎までを私で濡らして。
「キスしてるだけだよ。クリトリスに」
実際、どうでもいいんだ。でも、自分の思う以上に気持ちよくなると、つい、その場所を確かめて見たくなる、それだけだけど。
でも自分の身体の、それも秘密の部分の反応を、自分ではなく、男のほうが知っているというのも、どうもなあと思ってしまう。
腰が絞られるように快感が走り出す。絞られた腰は、すぐに緩んで、緩んだと思うと、また張りつめる。張りつめたまま細かく震え出す。
駆け上った官能が声を漏らす。
「あ・・ぁああ」
気持ちイイ部分がどこだか区別できないまま、でも、急に場所が明確になる。彼の指が、アヌスに触れた。
「・・いや。そこ・・だめ」
言葉では抵抗してみたものの、身体のほうは彼を欲しがってしまう。彼の触れる場所は、そこが何処だって快感の予感とともに受け入れたくなってしまう。
本当に、もう一つの彼の性器みたいに、キスの中心から彼が私の中に入り込む。彼が顔を蜜に汚しながら花びらに押し付ける。
伸ばされた舌が私を犯し始めた。同時に、指まで沈められて。
「ああ、おしりは・・い・・や」