空中楼閣*R25

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シャングリラ疑似体験


 もうダメかと思っていたら、不意に訪れた最後のチャンスみたいに蝉が鳴き出した。昨日からまた夏の気温が戻ってきた。予報でも、これが最後の残暑らしい。

 そんな蝉の声を遠くに聞きながら仕事の合間に見るデスクトップでは、黒のブラとショーツに、黒いハイヒールとブラックスーツの上着だけを着た女性モデルが、踊っている。

 カメラマンに向かって上着の前を開き、腰を振る。フィリピーノとアフリカン・アメリカンのハーフのモデル出身のシンガー、といえば判ってしまうだろう。

 彼女に辿りついたのは、ある人のブログからで、同時に何故か村上春樹の「ノルウェイの森」へと繋がって、映画監督のチャン・アィン・フン経由で、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの「Pale Blue Eyes」まで巡ってしまった。

 チャン・アィン・フン(トラン・アン・ユン)が繋いだ「ノルウェイの森」とヴェルヴェット・アンダーグラウンドの間には、彼の映画作品が並ぶのだった。

 もちろん、2010年公開予定なのが「ノルウェイの森」で、「ペイル・ブルー・アイズ」は「夏至」の中で使われいる曲だ。登場する三姉妹の三女が、同居している兄との目覚めの時の音楽として使われる。

 恋人とは上手くいかない三女は、同居する兄とベッドを隣り合わせにしていて、なんとも妖しい関係の二人を際立たせる目覚めの曲だ。なにしろ・・

「結婚していると事実が、貴女が私の大切な友であるという絆。でも、それは本当に、本当に罪なことだから。貴女の瞳から、どうしても目が離せない」と歌うのだから。

 こんな風に繋げてしまうと、ある本を思い出す。某雑誌での「クラブ・シャングリラ」という連載記事を本にしたものだ。

 快楽を求めて遊びを自在に連ねていく大人が二人、酒場で語り合うというスタイルなのだが、これが本当に心地よい。何度も読み返してしまう。

 今は、題名も少し変えて装いあらたに店頭に並んでいるらしい。

 ところで、チャン・アィン・フンが繋いだ「ノルウェイの森」で寄り道をした。何故、この小説の題名は「ノルウェイの森」なのか。無論、ビートルズなのだが、その理由はもしかしたら歌詞にあるのだろか、などと歌詞を探してみたりした。

 そうして、このフレーズに辿り着く。もっとも小説のほうとは、多分、無関係だとは思うのだが、もし、これを意図して作者が書いたなら、もっと彼の作品が好きになるかもしれない。

「最高だろ、彼女がやりたいと分かっているのって」