空中楼閣*R25

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白昼夢に誘われて(3)

 沈み込んだ意識が闇の中から浮かび上がってきたかと思ったら、見開いた瞳はまだ暗闇に包まれていた。身体が重く気だるかった。

 火照った肌が濡れて、夜風が気持ちがよかった。

「いけない。また眠ってしまった」

 そう思いながら暗くなった部屋の天井を眺め、下腹部を手のひらで撫でると肌の奥で子宮が震えるのが判った。

「ああ・・」と唇が緩んだ。遠くで虫達の声がしていた。

 柔らかなスカートの布ごしに自分の曲線をなぞった。

 飾り毛に包まれた厚みのある起伏のディテールを指先で感じとった。いつのまに下着を脱いでいたのだろう。指の先をそのまま滑り込ませたい衝動に駆られた。薄布のスカート越しに膨れ上がった雌しべに触れた。

「ん・・」と詰めた息を零しながら、肌触りのよい布地を潤みに添わせた。
「嘘・・こんなに」

 触れたとたんに、更に溢れでてくるのが判った。ついさっきまで身体を這い回っていた甘い疼きが目を覚ました。今度ははっきりと夢を思い出せた。

「欲求不満かな」と苦笑いを浮かべた。

 中指の先が湿っていた。スカートが汚れるのが気になって、手繰り寄せるようにスカートを捲り上げた。布地の重さから解放された飾り毛が涼しくなった部屋の空気に背伸びをした感じだった。

 軽く折り曲げた膝を静かに拡げた。

 レースのカーテンを微かに揺らして部屋へと流れ込んだ風が粘膜を愛撫した。中指を進めると、熱く柔らかな部分に埋もれていった。包み込んだ粘膜がそれに応えて収縮してみせた。反射的に腰が浮いて震えた。

「凄い、感じる」
「そうだよ。感じるでしょ」

 驚いて目を見開いた。男の声が聞こえた気がした。指を沈めたまま頭をぐるりと回して部屋の中を確かめた。

「そんな馬鹿な」と思いながら、闇の中に白く揺れるカーテンをぼんやりと眺めた。

 眺めながら、中指を折り曲げて自分の弾力に指先を押しつけた。痺れがその部分から広がって背中を仰け反らせ、唇から吐息となって溢れでた。

「あん・・ああ、気持ちいい」

 心地よさに視線が霞み始めた。白いカーテンが揺れながら闇に紛れて、大きく捲れあがった。風が濡れた部分をさらうように吹き込んできた。

「付け根まで沈めなさい」囁きが聞こえた。
「はい・・」と呟いて、右肩を下げるようにして中指の深さをました。

 指先が硬い弾力を感じると、呼吸とともに甲高い声を上げた。

 まだ、夢の中なのだろうか、と思いながら、気持ちよさにどうでも良くなった。きっと夢に違いない。そうに決まっている。私はまだ部屋のカウチで眠っているのだ。

「いつものように、もう一つの指も入れなさい」

 そういつものように、人差し指を中指に添えた。折り曲げた膝を引き寄せるようにして身体を曲げて、快感の芯を指先で探った。両足の踵が浮いて、つま先に力が入った。

 左手で乳房を感じ、硬くなっていた尖端を摘んで自分にお仕置きをするように爪を立て、強く捻った。淫らな声が一人の部屋に響いた。

 いや、一人ではないかもしれない。一人では寂しすぎる、と思った。本当は見て欲しい。夢の続きに耽りたくなった。もっと囁いて命じて欲しかった。

 不意に両脚が捕まれて大きく左右に拡げられ、いつの間にか両脇にいた男の膝に上に抱きかかえられた。腰を背中から突き出されると、淫靡なモーター音が足下から聞こえ始めた。

 閉じた目蓋を光と影が流れていった。規則的な電車の振動が快感を強くした。

 掻き乱された粘膜が蜜を弾いて淫らな音を奏でていた。もう一つの粘膜を小刻みに揺すぶられた。

「ほら全部、入った。さあ、見て貰おうね。いやらしい姿を」
「ああ・・はい」
「返事はちゃんとしなさい」
「見て・・ください。私の・・」

 いつのまにか両脇に黒い影のような男が二人座っていた。揺れる車内で乗客達の視線を感じた。

「あ・・逝く・・逝きます」