空中楼閣*R25

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白昼夢に誘われて(2)

 規則正しい振動が汗ばむ身体を腰から揺らした。それが、電車の揺れなのか、それとも男が突き動かすせいなのか判らなかった。

 座席がほとんど埋まった昼下がりの車内に、途切れながら響き渡る声が自分のものとは思えなかった。潤んだ視線の先では、濡れた飾り毛の向こうで容赦なく玩具が動かされていた。

「これ、夢よね」と自分に言い聞かせた。「私、夢を見てるのよね」

 そう思うことすら溶かしてしまうような痺れが、腰の奥から身体の芯を貫いて意識を甘くしてまう。

「ああ・・いい」と思わず声を出した。

 男達は黙ったままニヤリと微笑みあった。自分の脚の間に見え隠れする蛍光色が、引き出される都度、白く濁って糸を引いていた。

「いやらしい」と喘ぎながら呟いた。

 自分の言葉に誘われて、粘膜の奥から熱くなった蜜がトロリと溢れでてきた。

 道具を操っていた男がもう一方の手を差し出した。銀色の球体が六つ連なっている玩具だった。尖端から根本に向かって球が大きくなっていた。何をされるのかを予期して眉根を寄せ、濡れた唇から声を漏らした。

「だめ・・そんな」
「どうするか、判ってるのかな」

 どの男が話したのか判らなかった。低く落ち着いた声が肌の中へと入り込んだ。耳元に愛撫を受けたように身体がゾクリとなるような声色だった。

「何をされると思う?それとも、どうされたい」

 電車の座席の上で大きく拡げた剥き出しの両脚を抱えている両脇の男でもなく、真正面に跪いて粘膜を掻き回している男でもなかった。背中から抱きかかえられているように、ほつれ毛を晒したうなじへと話かけられていた。

 休むことなく腰を弄り続ける男が、もう一つの玩具で垂れ落ちている蜜に触れた。沈められた性具を押し返すように迫り出していた会陰に銀色の尖端が触れて、その感触に悲鳴をあげた。

 悲鳴とともに迫り出した花びらが奥へと窄まって腰を震わせた。車両がレールの継ぎ目を通過していく音に混ざって、花びらの漏らす淫らな蜜音が聞こえた。

 もう一つの粘膜に白濁を纏わりつかせた玩具が押しつけられた。

「いや・・」
「欲しそうだね。お口が膨れて緩んでる」
 
 恥ずかしさに涙で風景が滲んだ。その間も腰の粘膜を虐められ続けていた。うねりが大きくなって、気を緩めると全てを吐き出してしまいそうだった。

 指を折り曲げた白足袋から、左の草履が男の膝に落ちて床に転がった。右の足指には鼻緒が食い込んで揺れていた。

「あ・・ああ」

公然の場であることなど意識から無くなっていた。

「そう、夢なのだから大丈夫」と自分で確認するように言い聞かせた。

 宛われた尖端の球を迎え入れようと粘膜が綻んで、次の瞬間に呑み込んだ。何処が気持ちいいのか判らなくなるほど、疼きが広がった。全身が官能に呑み込まれ、溺れていった。

「ほら、一つ。自分から頬張ったね」

 剥き出しの腰の前に跪いた男が、花びらを突き動かしながら、後ろの粘膜を小刻みに揺らすように玩具を震わせた。

「だ・・だめぇ・・」
「欲しいのでしょ」
「いい、いやぁ」
「嫌じゃないですね。欲しいでしょ?」

 電車が速度を落とした。腰がずれて、玩具に粘膜が捩れた。

「ひぃ・・」

 周囲の囁きが耳に届いた気がした。消えそうな意識を繋ぎ止めると、ざわざわとした囁きが聞き取れた。

「いやらしい・・オンナ。あんなに欲しそうに腰を揺らして」

 苦しくなった呼吸で途切れ途切れの声を上げた。

「言わないで・・ああ、見ないで」

 粘膜が大きく迫り出して張りつめると、また一つ球体を呑み込んだ。呑み込むと同時に吐きだされてきた体液が、玩具を濡らして小豆色のシートに染みていった。