空中楼閣*R25

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2006年 夏の終わりに

 その年の梅雨明けに新しい場所で書き始めたとき、今までとは違った気持ちで、少し改まって、それでいてかなり自分の欲求を素直に表現した文章を綴ることが出来た。

 ただ、文章も雨粒や木々の葉と同じで数が増え、密度が増すと、その場を形作る。ある意味、それは都合の良いことなのだが、その場の形がやがて見えない檻となってしまう。

 文字の匂いが支配する空間は、安楽な場所でもあり、空気の重さを、不意に感じる場所でもある。

 その年に作り始めたその場所は、半年で閉じてしまったということもあって、檻や重さを感じることもなかった。

 つまり、とてもご機嫌なままで文章を綴り終えていた。特に、梅雨明け間近の淫靡な食事を綴った作品と、夏の終わりの午睡の淫らな夢を語った作品は、今も私のお気に入りだ。

 霧雨の日の食事のシーンから会話だけ抜き出してみた。

 第一話からは・・

「下着の中へ、シャンパンを注いで・・」
「え・・汚れて・・」
「後で、二人でショッピングに行けばいい」

 そして第二話に進み・・

「なんだか、恥ずかしい」
「花びらが椅子に直に触れているのが?」
「ああ、ダメ。そんなこと」
「ほら、食べなさい。見ていてあげるから」
「それが恥ずかしいの」
「だから・・見せなさい」

 第三話となる。

「床が濡れるまで続けなさい」

 素敵なランチだと思うのは、私だけ?