空中楼閣*R25

*リンク先が不適切な場合があります。ご容赦を*

日記

 数年前の一月には、こんな事を書いていた。

 1月31日 風の中

ゆうに15メートルはある大きな樹が
幾本も天に伸びて
古の武蔵野はこんなにも
背の高い雑木林だったのかと

畏敬を込めて梢を見上げた

遥か天上には一羽の鴉
君がこの公園の主なのか

変わり行く森を見続けた末裔なのか


 その翌年の五月には、こうも書いている。

 5月11日 夜気に包まれる

霧雨が上がったばかりの
夜の街を、一人歩きながら

深く息を吸い込めば
冷たい湿度に満たされる

忘れていたものが、生き返る気がする

やはり次に生まれ変われるのなら
大きな樹になりたい

 思えば、前述の本を手にとったのも、その表紙に一本の樹が描かれていたからだ。無論、その題名と内容も気になったのだけれど、表紙が私と本を出会わせた。

 いつから、憧れるようになったのだろう。

 先日、白州正子さんの「」についての著作を読んだ。ますます、大きな樹に憧れた。紹介されているような樹には、おいそれとは成れそうもないなと畏敬の念さえ抱くようになった。

 次に生まれ変わるなら、見晴らしいい稜線に植わった大きな樹になりたい。それも、人々の心を震わせるような泰然とした樹になりたい。