空中楼閣*R25

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ドール・ハウス(4)

 窓ガラス越しに青い空が何処までも澄み渡っていた。透明を幾重にも塗り重ねると青くなるのだろうか、と思いながら見上げている間に男がキャミソールを脱がせ始めた。

 されるがまま両腕を上げて全裸になる。濡れたお尻を急に寒く感じて、乳房の先が硬くなった。

 肩までの髪を乱したまま、出窓に手を突くように後ろを向かせられた。

 窓の外では河川敷のグランドでユニホーム姿の少年たちが野球をしていた。裸の乳房も見られてしまうと思った。

 男の手が髪に触れ、鎖のリードが連なった赤い首輪を首に巻いた。その銀色のチェーンの端を持ちながら男は足元に屈みこんだ。

「もっと脚を拡げて、腰を突き出しなさい。そうです。そうしたら両手でお尻を開いてよく見せなさい」

 出窓から手を離して、上体を折り曲げたままで自分の腰を両手で拡げた。アヌスが部屋の空気に晒された。

 ヌメリとした温かさが粘膜を押し包んだ。唇を噛んで声は我慢できたが、腿の内側を体液が流れとなって零れだした。

「ここにも別の生き物が棲んでいますねえ。また、漏らしましたか。ああ、ほら蜜が糸を曳いて落ちていきますよ。きらきらして、私だけ見ているのでは勿体ない。他の人にも見せてあげたいですね」

 腰が大きく震えた。折り曲げた上体を支えるのが辛くなってしまうほど下半身が蕩けてしまった。このままアヌスにキスを受けたら立っていられないと思うと、お尻を開いている両手の指先に力が入った。

「可愛いホクロですね」

 男の舌先が会陰に触れた。崩れそうになって体勢を立て直した。踏ん張ろうとすると止めどなく震えそうだ。

 吐息がアヌスをくすぐり下腹部が緊張した。尿意までこみ上げて来た。湿った温度がアヌスを這い上がって、その襞を弾くように螺旋を描いた。

「うぅう・・あぁあ」

 体の芯から堪えようもなく声が溢れ出た。フローリングの床に音を立てて体液が吹き出した。止めようとするには全てが弛緩しすぎていた。

「お漏らし人形ですね、貴女は」

 舌先で触れたまま男は囁いて舌先で綻んだ粘膜の内側を探った。反応する腰が窄まると舌を奥のほうへと招き入れてしまう。

 「ああっ・・あ」

 男の舌を引き込むかわりに大きな声が溢れ出た。男の指が脚の間から雌蕊を摘んで揉みしだき始める。全身がガクガクと波打った。

 顔をガラス窓に押し付けて体を支えようとした。花びらは嗚咽して幾度も波打ちながら液体を漏らし続けた。

 意識を保つことすら難しくなってきた。

 両膝を内側に折り曲げ、踵を浮かしてつま先に力を込める。逝く、と呟いたのか、声に出したのか判らないまま、呼吸が詰まった。青空がぼやけて少年たちの歓声が遠くで響いた。

 宙を漂っているような腰を両脇から男の手で掴まれ、急に視界が焦点を結んだ。秋の陽射しを頬に暖かく感じた。

 いつの間にか両手を自分の顔の脇に置いていた。

「腰をもっと高くしなさい」

 同時に男の手が腰を引き上げた。弾力の先端を会陰に感じると、舌先と同じように這い上がってアヌスの粘膜に押し付けられた。

 体の芯が痺れ始めた。咽や唇からではないところから呻きが漏れた気がした。それが声だと気づく前に、快感が意識まで呑みこんでしまった。

 静かにゆっくりと男が動きだした。腰を退かれると呼吸ごと持っていかれそうな感覚に襲われ、沈められると押し込まれたものが熱となって背筋を駆け上り咽から溢れた。

 切れそうな意識を乳首の痛みが繋ぎとめた。

 男は片手で右の乳首を強く摘んで捏ねていた。揺らしながら左手を飾り毛のない起伏へと伸ばしてきた。

 指先が雌しべを捉えた。呼吸が上手く出来なくなった。自分の体が意思とは無関係に反応を繰り返した。

 その反応が意識を霧のかなたに消し去ろうとした。

 弄られ続ける雌しべの傍で、花びらを開いたまま満たされない粘膜が孤独な収縮と弛緩を繰りかえしていた。

 埋めて欲しいと言わんばかりに、真っ赤になった中身を翻しながら蜜と体液を滴らせた。

「あ、あ、前に・・前に入れて下さい」

 腰を捕らえている男の動きが止まった。その直後、鋭い音とともに臀部に焼けるような痛みを覚えた。

「声を出してはいけないのですよ。人形は」

 容赦なく平手打ちが続いた。漏れそうになる声を堪えると膝が崩れそうになった。

 男は交わりを深くして支えるように私の腰を持ち上げた。埋められている粘膜が収縮して、今度は尿が溢れそうになる。

 後ろから強く揺らされながら臀部に手のひらでスパンキングを受けた。その度に尿意が押し寄せた。

 片手を窓ガラスに押し付けて姿勢を保った。いつの間にか、球拾いをしていた少年がこちらを見上げていた。視線が合うと彼は驚いたように顔を伏せて仲間のほうへと戻っていった。

 彼の位置からは裸の胸が見えたかもしれない。いや、窓に頬を押し付けた赤い首輪の淫らな女を目にしたに違いない。

 真っ赤になっているだろう肌を見下ろしながら、男は次第に激しく揺らし始める。押し開かれた粘膜の傍らで、空を掴むように花びらが嗚咽して熱い液体がだらしなく吐き出すのだった。

 眩しい風景に向かって頬が何度もガラス窓に押し付けられた。真紅のルージュに染まったペニスが、別の粘膜を赤く染めていくイメージが浮かんだ。

 腰に宿った熱が大きく膨らみ、子宮よりも奥からドロドロの鉛にように鈍く強い快感を引き出された。

 男が呼吸を荒げ、最後に呻き声を上げた。

 突き放されるように腰が開放された瞬間、首輪のリードを強く引かれた。よろけながら窓際に膝を突いた。髪をつかまれ喘ぐ唇が高ぶりで塞がれた。咽の奥深くに精液が叩き付けられて、むせるように流れ込んできた。

 窓の外から野球の金属バットの甲高い音が聞こえた。視界の左端に窓を見上げるユニホーム姿の先ほどの少年が見えた。

 ゴクリと咽を鳴らして男を呑みこんだ。抜き去られる先端から濡れた唇へと白い糸が曳いた。少年の視線が赤い唇にじっと留まっていた。

 その時、少年の眼差しが囁いた。

「お人形は声をだしてはいけないんだよ」・・(了)