ささやかな抵抗
いつもなら素直にイエスとは言わない貴女から、「はい」という短い言葉だけが思いがけずに返ってくると、心に妖しい感情がぽつりと浮き上がり、ゆっくりと沁みて広がっていく。
それは例えば別れ際のキスのときに、何気なく貴女の片方の手首をつかんで後ろ手に固定して、舌をいつもより長く噛んだ時の、予想以上の貴女の敏感さ感じた時に似ている。
「ショーツを脱いだら、そこに腰を下ろして、膝を開いてみて」
「はい」
例えば下着を付けさせずに、肌触りの良いワンピースで外を歩く。
「胸の先が、硬くなっているか触れてみなさい」
「はい」
綺麗に剃った腰の起伏をスカートの上から触れながら、耳元で囁いてみる。
「スカートを捲くって、見せてごらん」
「はい」
でも、いつもはそんなは返事はしないのが、貴女だったりもする。
「言いなりになったりはしないから」
「知ってるよ」
「可愛げないわよね」
「逆だよ」
「どうして?」
ほら今日だって、じっと見つめれば、見えない糸に縛られるのだから。
「手首を頭の上で交差したら、脚を開いて膝を突いたら、胸を突き出してごらん」
「・・はい」